第百一話 決戦、死の山(六)
ヴォギノ達、革命政府の幹部は、
動力室は、さほどの広さや大きさはなく、パイプとバルブがたくさんあるだけの部屋であった。
ヴォギノはあちこちのバルブを操作する。
コンパクがヴォギノに尋ねる。
「ヴォギノ主席、一体何をされておるので?」
ヴォギノが答える。
「
コンパクが驚く。
「首都へ!?」
ヴォギノがニタリと笑いながら解説する。
「そうだ。ここから、およそ三日で
「・・・まさか!?」
ヴォギノが嬉しそうにコンパクに説明する。
「そうだ。その『まさか』だ。七十二時間後、この
ヴォギノが続ける。
「コンパク! グレイン! 山頂の飛行場へ行くぞ!!」
革命政府の幹部は、エレベーターで
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ラインハルト達、ユニコーン小隊と帝国不死兵団、帝国魔界兵団は、
昇天していった皇妃の亡霊を見送ったラインハルトは、目を閉じて、その場に立ち尽くしていた。
ジカイラがラインハルトを気遣う。
「・・・大丈夫か?」
ラインハルトは寂しげな微笑みを見せる。
「ああ。大丈夫だ。・・・すまない。悲しんでいる時間は無かったな」
ラインハルトがエリシスとナナシに指示する。
「もう革命軍も秘密警察も壊滅しただろう。帝国不死兵団、帝国魔界兵団は、
エリシスとリリーが一礼する。
「判りました」
ナナシと紳士が一礼する。
「・・・承知した」
エリシスは転移門の魔法を唱える。
帝国不死兵団、帝国魔界兵団の二つの兵団は転移門を通って、自分達が乗ってきた輸送飛空艇のある
ラインハルト達は、出口のエレベーターで司令室に向かった。
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ラインハルト達は、エレベーターで司令室に入る。
小隊のメンバーは周囲を見渡すが、司令室は既にもぬけの殻であった。
司令室には、数枚の
ティナが呟く。
「誰も居ないね」
ジカイラが口を開く。
「ガマガエル一味は、何処に行きやがった?」
ナナイが
「あいつら、山頂の飛行場に向かったみたいね」
ハリッシュが壁に貼られた大きな魔法の地図を見て、首を傾げる。
魔法の地図にはアスカニア大陸全土の主要国家が色分けされており、主要道路と鉄道、主要都市、そして
飛行している
「・・・変ですね。
クリシュナがハリッシュに尋ねる。
「どういうこと?」
ハリッシュは中指で眼鏡を押し上げる仕草をした後、解説し始める。
「
ケニーが口を開く。
「東北って、僕たちが来た方向じゃないのか?」
ジカイラが右手の人差指で頬を掻く。
「・・・嫌な予感がするなぁ」
ハリッシュは
その先には、帝都ハーヴェルベルクがあった。
「・・・まさか!? 革命政府は、
小隊全員が驚く。
「「なんだって!?」」
ジカイラが真顔でハリッシュに話し掛ける。
「おい! 冗談だろ!? こんなモノを帝都にぶつけたら、百万人以上の人が死ぬぞ??」
ケニーが呟く。
「・・・いや、ジカさん。革命政府ならやりかねないよ」
ナナイが口を開く。
「暴力革命を掲げて、全ての犯罪を正当化してきた連中だから、本当にやりそうね」
ハリッシュが呆れたように話す。
「・・・まったく次から次へと。彼等の悪知恵は尽きることがありませんね」
ラインハルトが口を開く。
「ハリッシュ。コイツを止められるか? 何なら、破壊しても構わない」
ハリッシュが答える。
「
ラインハルトが驚く。
「
ハリッシュは中指で眼鏡を押し上げる仕草をした後、解説し始める。
「出来ますよ。『禁呪』を使えば可能です。しかし、許可が必要です」
ジカイラが尋ねる。
「『許可』って、誰の??」
ハリッシュが答える。
「貴方ですよ。ラインハルト。皇太子である貴方が許可すれば、『禁呪』を正々堂々と使用することが出来ます」
ラインハルトは決断する。
「判った。『禁呪』の使用を許可する。
ハリッシュが付け加える。
「できれば、あと、もう一人、『禁呪』が使用できる者が居たほうが良いのですが」
ラインハルトが答える。
「
ハリッシュが告げる。
「判りました。二手の別れましょう。ラインハルト、ナナイ、ジカイラ、ティナは飛空艇で革命政府の幹部を追って下さい。残る私、クリシュナ、ヒナ、ケニーと帝国四魔将で、この
ラインハルトが口を開く。
「判った」
ユニコーン小隊は、
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ユニコーン小隊は、それぞれの飛空艇に乗り込む。
ラインハルトが告げる。
「ここからは二手に分かれる。皆、後は頼んだぞ!」
ハリッシュが自信あり気に答える。
「任せて下さい」
ラインハルトとナナイ、ジカイラとティナの乗り込む飛空艇が離陸し、
ハリッシュとクリシュナ、ケニーとヒナの乗り込む飛空艇は離陸すると、空母ユニコーン・ゼロを目指して飛んで行く。
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革命党も壊滅状態となり、一隻の輸送飛空艇に乗って港湾自治都市群へ向けて逃走するヴォギノなどの革命政府の幹部と付き従う僅かな者達のみとなっていた。
雲海を眼下に収める虚空を飛行する要塞