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第八十話 作戦会議

 飛行空母ユニコーン・ゼロは帝国魔法科学省へ向けて進んでいた。

 小隊メンバーが全員揃う夕食後、そのまま作戦会議を開く。

 ラインハルトが口を開く。

「次の目標である帝国魔法科学省の探索について、皆の意見が聞きたい。何かいい案があれば、遠慮なく上げて欲しい。ハリッシュ、まず状況を説明して欲しい。」

「判りました」

 ハリッシュが状況を説明する。

「次の目標である帝国魔法科学省は、首都ハーヴェルベルクの一角にあります。首都であるハーヴェルベルクは、重厚な三層の城壁に囲まれており、陸地からの攻撃には難攻不落で知られています。帝国魔法科学省は、バレンシュテット帝国の魔法科学文明を支えてきた重要施設であり、防御は固く、強力な結界も施されている事は周知のとおりです」

 ナナイが意見を述べる。

「事実上の『首都攻略戦』ね」

 ハリッシュが追従する。

「そのとおりです」

 ラインハルトが感想を言う。

「正面攻略は難しそうだ。隠密に潜入するか?」

 ハリッシュが見解を述べる。

「革命政府も備えはしているでしょうね」

 ジカイラが案を出す。

「相手の注意を逸らす。『陽動作戦』はどうだ? まず、意外なところを攻撃して、相手の注意をそちらに向ける。その隙きにこちらが首都に潜り込んで、帝国魔法科学省を探索すると」

 ティナが疑問を口にする。

「『意外なところ』って?」

 ジカイラが答える。

「革命政府が『ココを攻撃する事はあり得ないだろう』と思う場所さ」

 ヒナが尋ねる。

「例えば?」

 ジカイラが嬉しそうに答える。

「例えば、『秘密警察本部』とか」

 ラインハルトも苦笑いしながら賛同する。

「秘密警察の奴等には『借り』もあるからな」

 ラインハルトには、秘密警察にナナイと寝ているところに押し入られた『借り』があった。

 クリシュナが提案する。

「私のストーンゴーレムで秘密警察本部を叩き潰すのはどう?」

 ジカイラが笑う。

「そいつは良い。派手に行こうぜ!!」

 ハリッシュも案を出す。

「秘密警察本部襲撃と同時に、揚陸艇で上空から首都にビラを巻いて民衆を扇動しましょう。『ガレアス艦隊を撃滅したラインハルト少佐が部隊を率いて、革命政府の圧政から首都ハーヴェルベルクを解放しに来た。今こそ革命政府を倒すときだ!』とね。革命政府に抑圧されてきた首都の民衆が暴動を起こせば、更に状況はこちらに有利になります」

 ナナイも案を出す。

「帝国軍の四個方面軍の協力も要請してみてはどうかしら? 東西南北の四方から革命政府を圧迫したら、彼らはそちらに戦力を割いて、首都は手薄になると思う。それに・・・」

 ラインハルトが問い質す。

「それに?」

 ナナイが説明を続ける。

「帝国魔法科学省の次の目標、帝国大聖堂も首都にあるわ。首都の撹乱が上手く行けば、同時に探索できるかも」

 ケニーも意見を述べる。

「潜入や探索をするなら、防備は手薄な方が良いし、市内が混乱している方が、潜入しやすい。僕は陽動作戦には賛成」

 ヒナが疑問を口にする。

「小隊の編成はどうするの?」

 ハリッシュが編成案を出す。

「小隊を二つに分けます。探索班に、ラインハルト、ナナイ、私、ケニーの四人が。陽動班にジカイラ、クリシュナ、ヒナ、ティナの四人でどうでしょう? 敵に不死者(アンデッド)が居た場合、この編成なら対処できます」

 ティナが疑問を口にする。

「探索班は回復できないの?」

 ハリッシュが説明する。

「小隊で回復魔法が使えるのは、ティナしか居ません。探索班の回復は、ポーションに頼るしかありませんね」

 ラインハルトがまとめる。

「四個方面軍での首都圧迫、秘密警察本部への襲撃、ビラでの民衆扇動、帝国魔法科学省と帝国大聖堂の同時探索。二班に別れての作戦行動。全部、良い案だ。採用しよう。ただ、四個方面軍に協力を要請する必要がある。私からアキックス伯爵を通じて帝国四魔将の協力を求めてみよう」

 作戦会議を終えて、ラインハルトは自室に戻る。








 ラインハルトは自室で作戦計画書を書いていると、フクロウ便で先に送った報告書に対するアキックス伯爵から返事が来る。

 ラインハルトは、アキックス伯爵から送られてきた羊皮紙の書類に目を通す。

 ラインハルトが仕事を終えた頃、入浴を終えてガウン姿のナナイがラインハルトの部屋に来る。

「お疲れ様」

 そう声を掛けると、いつもの場所と言わんばかりにナナイはラインハルトの膝の上に座る。

 そして、冷たい紅茶のグラスを両手で持ち、赤ちゃん飲みする。

 ナナイは普段、他の人間の前では気丈に振る舞い、隙きを見せない凛とした副官の女性士官であるが、ラインハルトと二人きりのときは、恋人に甘える年齢相応の可愛らしい恋する乙女であった。

 ナナイはラインハルトが読んでいた書類に目をやる。

「・・・アキックス伯爵から?」

「そうだ。『狼の巣』探索と麻薬工場破壊に対する労いと、ルードシュタットの迎賓館に来て欲しいと書いてある」

「ルードシュタットの迎賓館に?」

「ああ。他の帝国四魔将に皇太子探索の任に当たる私達を紹介したいとの事だ」

「どうするの?」

「少し遠回りになるけど、アキックス伯爵の要請通り、ルードシュタットに行く。どのみち帝国魔法科学省や帝国大聖堂探索のときに行う陽動作戦に、帝国四魔将の協力を頼む必要があるからね。彼らと直接会って、作戦を説明したほうが手間が省ける」

 ラインハルトが概要を話し終えると、ナナイはグラスを机の上に置いて、ラインハルトの首に両腕を回すとラインハルトにキスする。

 ナナイは、うっとりとしたエメラルドの瞳でラインハルトを見つめる。

 ラインハルトの目がナナイのガウンから覗く胸の谷間に行く。
 
「そういえば、お預けにしたままだったな。すまない」

 そう言ってラインハルトはナナイにキスすると、ナナイを抱く左手で胸を揉む。

 ナナイはピクンと反応すると、目を閉じてラインハルトの首にすがりつき、口から吐息を漏らす。

「はぁ・・・あっ・・・」

 ナナイの胸の先が固くなるのが判る。

 ラインハルトは右手で太腿の外側からナナイの秘所を探る。

 パンツの中に中指と薬指を入れると、再びナナイはピクンと反応する。

 そのナナイの秘所は、既に溢れんばかりの体液で、しっとりと濡れていた。

 ナナイが恥じらいから頬を赤らめ、ラインハルトを見つめて告げる。

「・・・恥ずかしいけど、・・・貴方に抱かれただけで、こうなるの」

 ラインハルトは再びナナイにキスして両腕で抱き上げると、ベッドへ連れて行き、ナナイを抱いた。

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