234章 超大物歌手登場
ミサキはアイスクリーム、シノブ、マイ、ユタカ、シラセ、フユコはアイスクリームを受け取った。
「ソフトクリーム、アイスクリームの代金はどうすればいいですか?」
シノブの質問に対して、浴衣姿の女性が答えた。
「ミサキ様より、すべての金額をいただいております。みなさまはお金を払う必要はありません」
宿泊費、食事代などで、100万ペソを支払う。アイスクリームのCMで獲得した、すべての金額を宿泊費に投入する。
マイはソフトクリームをなめる。
「ミルクの味がすごい」
ユタカはソフトクリームのおいしさに、にんまりとしていた。
「駅前で食べたよりも、ずっとおいしい」
シラセは食べるスピードが早く、コーンもすぐに完食する。
「すばらしいです。もう一つ食べたいです」
浴衣姿の女性は、ソフトクリームを食べ終えたばかりのシラセに、アイスクリームを渡す。
「ソフトクリームだけでなく、アイスクリームもお楽しみください」
シラセはアイスクリームを受け取ると、こちらもすごいスピードで食べ進めていく。あまりのおいしさに、理性は絶賛崩壊中だ。
「シラセ、食べ物に夢中になりすぎないようにね」
マイの言葉は聞こえていないのか、食べるスピードを緩めることはなかった。シラセはものごとに熱中すると、周りが見えなくなるタイプのようだ。
アイスクリームを食べる前に、浴衣姿の女性に声をかけられた。
「ミサキ様、サインをいただけないでしょうか?」
「私のサインですか?」
「はい。サインを飾ることで、宣伝をしたいと思っています」
いろいろなところで、サインを求められる。サインと切っても切り離せない生活を送っている。
ミサキはサインを書き終えると、浴衣姿の女性に渡した。
「ミサキさん、ありがとうございます。サインをしていただいたので、30分限定でソフトクリーム、アイスクリームを食べ放題にします」
アイスクリームを食べた直後、腹の虫は空腹のサインを発する。
「おなかすきました・・・・・・」
おなかの減るスピードは、アイスクリームによるカロリー吸収を上回る。腹ペコ少女の胃袋は、どうなっているのだろうか。
「おにぎりを準備しているので、すぐに持ってきます」
おにぎりを完食してから、デザートを食べることになりそうだ。30分の食べ放題の恩恵は、享受できそうになかった。
浴衣姿の女性は、大量のおにぎりを持ってきた。腹ペコ少女もこれだけ食べれば、2時間くらいはお腹を満たすことができる。
「おにぎり50個です。お召し上がりください」
おにぎりを食べようとしていると、思いもよらない人物から声をかけられた。
「ミサキさん、こんにちは・・・・・・」
他人を誘惑するきれいな顔、造形と近い体のライン、スラっと伸びた長い足。女性ではなく、女神を見ているような錯覚に陥った。
「タウダルヒカさんですか?」
タウダルヒカはシングル5000億枚を売り上げた、トップクラスの女性歌手。歌手だけで食べていける、数少ない女性である。
「そうです。ミサキさんにお会いできて、心から感動しています」
シノブ、マイ、ユタカ、シラセは大物歌手を前に、興奮を隠せない様子だった。音楽に興味を持っているなら、一度は会いたい逸材である。
フユコはまったく関心を示さなかった。どんな有名な人であっても、興味対象でなければ価値はなくなる。
「ミサキさんの大食いを見せてください」
名前だけでなく、大食いであることも知られている。こちらの想像以上に、情報を仕入れている。
「今から大食いをするところです」
タウダルヒカは鼻息が荒くなった。
「WOWOW、最高のショーを見られます」
話をしている間にも、空腹は加速する。腹の虫を抑えるために、おにぎりを次々と口の中に運んでいく。
50個のおにぎりは、20分ほどで完全になくなった。満足な食事をとったことで、空腹から解消された。
タウダルヒカは、目をキラキラとさせていた。
「ミサキさんの大食いを見られて、とっても幸せな気分です」
「喜んでいただけたのでしたら、こちらとしても幸いです」
タウダルヒカは小さな瞬きをする。
「夜に出演しますので、参加してくださいね」
「タウダルヒカさんの歌を、生で聞けるんですか?」
「はい。ミサキさんのために、特別出演します」
「私のためですか?」
「そうです。ミサキさんに、歌声を絶対に聞いてほしいです」
「わかりました。参加させていただきます」
タウダルヒカが手を差し出してきた。ミサキは意図を感じ取ると、右手をゆっくりと差し出す。