203章 アイドル消滅の危機
体重は41キロまで戻った。理想とする体重まで、あと1キロに迫った。
布団で横になっていると、扉をノックされる音がする。ミサキは体を起こしたあと、玄関に向かった。
扉を開けると、思いがけない人物が立っていた。
「アヤメちゃん、どうしたの?」
アヤメは深々と頭を下げる。
「ミサキちゃん、遊園地の件は本当にごめんなさい。必死になるあまり、飛ぶ人のことを考えられなかった」
「アヤメちゃん、アイドル活動はどうなの?」
アヤメは静かに首を振った。
「アイドル活動は、二度とできないと思う。遊園地のイメージダウンは、今後の活動のアキレス健になったと思う」
わずか一つの失敗で、人生は地に堕ちていく。アヤメクラスであったとしても、例外ではないのかもしれない。
「アイドルは100人まで減らされたあと、90人くらいはすぐにやめていった。志願者もいなくて、人数を確保できていない。テレビ出演の約束を破ったことで、仕事の依頼もされなくなってしまった」
90パーセント以上を一気に削減すれば、残ったアイドルは不安に駆られる。夢を追いかけることよりも、自分の未来を守ることを優先する。
「私の勝手な判断で、たくさんの人に迷惑をかけた。どうお詫びすれば・・・・・・」
罪悪感に駆られている女性の、背中にゆっくりと手を当てた。
「アヤメちゃんはよくやった。自分を責める必要はないよ」
アヤメの存在によって、たくさんのアイドルは活動できた。彼女を責めるのは、お門違いに感じられた。