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17話 裁判

そして、アルフの裁判の日がやって来た。

俺は、証人として検察側に呼ばれた・・。

裁判長は、ルリシア女王本人が行う。

検察長は、ロード隊長が、アルフの弁護人はアスター隊長が行うことになった。

検察側の主張は、アルフは1番隊中隊長昇格ほしさに、仲間の手柄を横取りするため、ミラ・フリージラを魔獣に襲わせ殺害した。これは極刑に値するというものだった。

弁護人の主張は、アルフがこれらのことを行ったのは事実だが、アルフの実力は、1番隊の中でもトップクラスで、本人にも反省している様子が見られるため、死刑にするのはもったいない。そのため、謹慎処分で済ませるべきだ。という内容だった。

「それでは、アルフ・マイトに弁明の余地を与えよう。アルフ、何か言いたいことがあるのであれば、発言を許可する。」

アルフはいかにも開き直り、減刑を望む顔をしていた。

「はい、私はミラ・フリージアを魔獣に襲わせ殺害したという罪を認めます。しかし!!私を死刑にするのは反対です。なぜなら、私はこの王国にとって有用だからです。私の実力は1番隊の中でもトップクラス!!また、私は指導者になるカリスマ性や器があります。そのため、ここで私を死刑にしてしまうのはあまりにも悪手だと考えております。どうか、寛大な処置をお願いいたします!!」

アルフはそう言うと、深く頭を下げた。

「ふむ……確かにお前は強い。それに、部下からの信頼もあるようだ。では、今のアルフの発言を踏まえて、リリス。お主はどのような判決が望ましいと心得る?」

「はい、私はアルフは死刑がよろしいかと思います。1番隊隊長の立場から言わせていただくと、アルフが居てもいなくてもなんら変わりません。アルフは思い上がっているようです。自分の実力に・・。」

すると、アルフの額から汗が流れた。

「サラサ、お主はどのような判決が望ましいと心得る?」

サラサは口角を上げた。

「はい、私はアルフを死刑にすることに反対です。なぜなら、彼はとても優秀で有能な人材だからです。彼の才能を生かすことが、我が国の発展に繋がるからです。なので、私は彼を1番隊から引き抜き、私の4番隊に引き入れることを提案します。」

すると、アルフはニヤッとした。

「ふむ。意見が綺麗に割れてしもうたのう。困った者じゃ。では、弁護人アスター、最後の発言を許可する。」

「はい、私はアルフ・マイトの弁護人として、彼の価値を説きます。彼は、剣の腕もさることながら、魔法にも精通しています。彼がいれば、この国はもっと発展するでしょう!!。」

「なるほど。それは素晴らしい提案であるなぁ。しかし、検察側の最後の主張も聞いておこう。ロード、発言を許可する。」

「我々は、断固アルフ・マイトの処刑を希望します。その心は、アルフが今後このような殺人を犯さない保証がどこにございましょうか?。そんな危険人物を野放しにしておくことはできません。即刻、殺すべきでございます!!。」

俺は、殺害されたミラ班長には悪いが、もうアルフのことについて考えたくないと思っていた。

しかし、この裁判でのアルフの態度を見ていると、こいつは自分が助かることしか考えていないと思い、アルフに対しまた怒りが湧いてきていた。

アルフめ、処刑になってさっさと死ね。アルフに報いを・・!!

ルリシア女王が判決を言い渡す。

「それでは、最終的な判決に移る。アルフ・マイトを1番隊から除外・・。および、1か月の謹慎処分に処す。」

その瞬間・・。空気が固まった。

俺は絶句して吐き気がした・・。

その時、俺は心の底から出た本音を知った。

”アルフが死刑になってほしかった”

「これは最終判断とする。これ以上の反論は認めない。皆、下がるといい。」

そう言って、裁判長は台から降りた。

俺とロードは驚きすぎて何も言えなかった。

そして、アスターはいつも通りヘラヘラしていた。

アルフ・・・そこまで大事か・・?この国にとって・・そこまでの実力者なのか・・?

いいや、問題はそこじゃねえ・・。人として、こいつは生かしておけない・・はずだ・・!!

ルリシア女王が先に法廷を出ようとする。

「待て!!やり直しだ!!」

俺はそう叫んだ・・。女王に対して・・。場が凍り付く。

リリスだけがニヤッと笑った。

「ケイ・・!!無礼だぞ!!今すぐ発言を撤回しろ!!」

「ケイ君。いくらなんでもそれはダメだよ・・。」

ふざけるな・・・

「アルフ・・!!!処刑!!」

俺はそう叫ぶと、座っていた椅子を持ち上げてアルフへと思いっきり投げた。

しかし、アルフは簡単に避けた。

だが、これで終わりではない。

「うおおぉっ!!!!」

俺は全力で走っていき、拳を握りしめたまま、思い切り殴ろうとした。

だが、隊長たちが止めに入ってきた。

「聖霊術!!光輪!!」

ロードがそう唱えると、俺の手と腕に光の輪っかが出現した。

そして、そのまま俺の腕は上に持ち上げられたまま動かせなくなった。

「いい加減にしろツルギ・ケイ!!これ以上すると、罪に問うぞ!!」

だが、俺にその声は届かない・・。

異世界に来て初めて本気の目的ができた。アルフ・マイトを殺すことだ・・。コイツだけは許せない・・。

「少林寺!!術式展開、演武!!」

俺は叫びながら、俺の体を包み込むように白いオーラがまとわりついた。

ロードの光の輪っかを破壊して、隊長たちをくぐり抜ける。

そして、一瞬でアルフの目の前に到達した。

「・・ッチ・・!!お前、やる気か!!」

「少林寺!!一の技、旋風脚!!」

バゴォオオオオ!!!

命中した。

「ガァアアアアアアア!!」

ドゴォオオオオ!!

俺の蹴りが命中したアルフは、法廷の壁をぶち抜け、外に吹き飛んだ。

ダッ!!

俺は地面を蹴り、飛び上がる。空中に吹き飛び出されたアルフに追いつき、胸倉を掴む。

「アルフ・・!!お前だけは殺す!!」

空中で下を見ると、闘技場のようなドームが見えた。

俺はそのままアルフを闘技場の地面目がけて投げ飛ばした。

アルフは地面に叩きつけられた・・。

「・・・くっ・・ふふはははは!!馬鹿が!!俺に敵うと思っているのか・・?」

ダァアアアン!!!

俺はアルフの目の前に着地する。

ここは、兵士同士の戦いを見せモノとして設けている闘技場だ。

「ここで、お前を殺す!!アルフ!!」

アルフは剣を抜き、ニヤッと笑った。

「新入り!!殺してやる!!」

2人の命を懸けた一騎打ちが始まった。

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