136章 パン屋にやってきた
ミサキは久しぶりに、パン屋にやってきた。心のいたずらによって、あの店のサンドウィッチを食べたくなったのである。
パン屋の中に入ると、内装は変わっていなかった。ミサキはそのことに対して、安心感をおぼえることになった。
「いらっしゃいませ」
パン屋の店員をしていたのは、ホノカだった。焼きそば店を退職したあと、パン屋に就職していた。退職から間もないだけに、事前準備していたのかと思った。
パン屋の客は非常に少なく、ゆったりまったりとしていた。のんびり好きな女性にとっては、働きやすい職場だ。
サンドウィッチを大量購入しようと思ったものの、4つしか陳列されていなかった。10個は買いたいと思っていたので、ショックを受けることとなった。
サンドウィッチの横に、新発売の生クリームパンが並んでいた。新しく販売されたパンを、次々とトレイにのせていく。
トレイがパンパンになると、レジに向かった。パンをのせすぎたからか、移動は不自由を伴っていた。
「ミサキさん、パンの量はすごいね」
「ホノカさん、体は問題ない?」
「特に問題はないよ」
「それを聞いてとっても安心した」
ホノカは会計をする。パンを大切に扱っているところは、彼女らしいと思った。
「90ペソになります」
ミサキは代金を払ったあと、商品を受け取る。
「ありがとうございました」
ホノカは焼きそば店にいたときよりも、とってもイキイキとしていた。やりがいのある仕事を見つけられたことは、素直に良かったと思った。