133章 心配り
シノブ、マイの力添えもあって、席になんとかたどり着く。
「ミサキさん、席に着きました」
「シノブちゃん、マイちゃん、ありがとう」
シノブ、マイの肩が離れる。バランスは大いに崩れたものの、転倒だけは免れることができた。
4人席だったので、ミサキ、シノブ、マイ、ユタカで座った。アオイ、ツカサ、ホノカ、ナナは別のグループだ。
シノブは間髪入れず、呼び出し音のボタンを押す。緊急性を知らせるためなのか、4~5回くらい押していた。
アオイ、ツカサは焼き肉、焼き肉、焼き肉といっていた。自分の気持ちにストレートなのはいいけど、空気を読めるようになってほしい。シノブ、マイ、ユタカの3人はあまりの無神経ぶりに、おおいにいらだっていた。普段は温厚でいられる人たちも、今回ばかりは許せなかったようだ。
ブザーの回数が多かったからか、女性店員は慌てたようにやってきた。
「お客様、どうかしましたか?」
「ミサキさんは空腹で苦しんでいます。ご飯の大15人前を、すぐに持ってきていただけませんか」
「わかりました。すぐにご飯をお持ちします」
店員は急ぎ足で、調理室に向かっていく。シノブはその様子を確認すると、
「ミサキさん、あとちょっとの辛抱です」
といった。シノブの優しさ、温かさに対して、涙がこぼれる。空腹で苦しんでいても、ご飯を
もらえなかったときとは大違いだ。
「シノブちゃん、ありがとう」
ご飯は3分ほどで運ばれてきた。
「ご飯の大をお持ちしました」
ミサキはご飯を食べられると知り、気力を取り戻した。
「いただきます」
ミサキはとんでもない勢いで、白米を食べ進める。おなかのすいているときは、普段の5~10倍のスピードでご飯を食べられる。
白米を10人分食べると、元気を取り戻した。
「シノブちゃん、本当にありがとう」
「ミサキさん、体は問題ないですか?」
「病気などはしていないよ」
おなかはすくものの、病気には非常に強い。ミサキの体は、特殊構造をしている。