108章 野球
アヤメとの生活は終わり、ミサキは一人きりの日常に戻った。
わずか1日ではあったものの、たくさんの思い出を作ることができた。刺激を与えてくれたことに、とっても感謝している。
テレビをつけると、アイドルの水泳大会が行われていた。たくさんのアイドルは赤組、白組に別れて、全力でぶつかっていた。
チャンネルを変えようかなと思っていると、サクラココロを発見。本人と話したことがあったからか、不思議な感覚を受けることとなった。アイドルという存在は、どんなに手を伸ばしても届かない、とおいとおい場所にいると思っていた。
シノブ、マイ、アオイ、ツカサ、ホノカ、ナナなどもアイドル活動をしていた。気づいていないだけで、アイドルと接する機会は多いのかもしれない。
テレビのチャンネルを切り替えると、野球の対戦が映し出された。
野球をしているのは、美女だけとなっていた。ミサキはこれを見て、低レベルの戦いを繰り広げられるのかなと思った。
後攻チームのピッチャーは、ボールを投げ込む。ふんわりとした軌道を描いたあと、キャッチャーミットに収まった。
「ストライク」
ピッチャー球速は58キロで、小学生レベルにすら達していなかった。あまりに遅すぎて、蚊が止まりそうなほどだった。
バスケット、バレーのレベルが低すぎたからか、まともに思えてしまった。レベルの低すぎるものを見ると、当たり前のことをすごいと感じるようになる。人間の基準は、相対比で決められると思った。
ピッチャーは次のボールを投げる。ボールの軌道は、先ほどと同じようなものだった。
「ガキ・・・・・・」
鈍い打球音のあと、ボールはピッチャー向かっていった。ピッチャーは捕球したのち、ボールをファーストに送る。
「アウト・・・・・・」
アウトを取っただけなのに、テレビ画面に拍手を送っていた。バスケットボール、バレーボールとは異なり、最低限のレベルに達している。
ピッチャーは後続のバッターを抑え、先行チームの攻撃は0で終わった。