100章 アヤメの夜の散歩
ミサキは白米、焼き肉を食べ終える。ふらふらとしていた体は、元気を取り戻すこととなった。
「ミサキちゃん、一日中食べ続けているの?」
ミサキは静かに首を横に振った。
「夜の9時になったら、翌日の7時まで何も飲食できなくなる。10時間くらいについては、食べ物と無縁な生活を送る」
夜の9時から、朝の7時までは飲食不可。一滴の水すら、体は受け付けなくなる。
「ミサキちゃんは、特殊な体をしているね」
14時間は食べ続けて、10時間は胃袋を休ませる。メリハリの利いた、生活を送っている。
「睡眠時に空腹になったら、一睡もできなくなるよ」
「そうはそうだね」
アヤメは納得したように頷く。
「食べるところも興味あるけど、何も食べないところにも興味がある」
人前で食べるところは見せるけど、何も食べないところは見せない。何も食べていないシーン
は、貴重といえる。
「ミサキちゃん、夜の散歩に行ってくるね」
「いってらっしゃい」
「散歩から戻ってきたら、一緒にお風呂に入りたい」
「アヤメちゃんと一緒に入るの?」
「うん。一緒に入りたい」
「わかった。一緒に入ろう」
「ミサキちゃん、ありがとう」
アヤメは靴を履くと、散歩に出かけた。