80章 準決勝
準決勝に進んだのは8人。第3ステージで、半分が脱落した。
勝ち残ったメンツは、ミサキ以外は男性のみだった。男女混同で、女性が残るのは厳しいようだ。
体型はふっくらしている人が多かった。細身で残っているのは、ミサキ、タケシのみである。
「準決勝のメニューは、ラーメンとなります。1時間以内に食べた量で、決勝進出者を決めます。決勝に進出できるのは、3名となっています」
準決勝になって初めて、大食い大会の要素が組み込まれた。これまでは大食いというより、ノルマをクリアするための大会だった。
待ち時間が長いからか、極限状態の空腹だった。体にエネルギーを入れないと、非常に危険な状態である。
ミサキは怒涛の勢いで、ラーメンを食べ進めていく。あまりに早かったのか、会場からはどよめきがあがっていた。
「ミサキさん、とんでもないスピードで食べています。細い体のどこに、ラーメンが入っていくのでしょうか」
ラーメンのスープは飲む必要はない。麺を食べたら、次の1杯に進むことができる。
「ゴリゴリラさんも、かなりのスピードですね」
アヤメと生活をしたいという思いが、ラーメンを食べさせているのかな。ゴリゴリラという人は、アヤメとの生活に命を懸けているかもしれない。
「タケシさんは、厳しそうですね」
準決勝に残った中では、2番目に体が細い。ラーメンを食べたくても、おなかが拒否している状態だと思われる。
「ミノルさん、食べる手がストップしました」
ミノルは手で、×を作った。ここで限界のようだ。
「ミノルさん、準決勝で無念のリタイアです」
ミノルがリタイアしたことで、7人による争いとなった。
「ケンさん、まずまずのスピードを維持していま・・・・・・」
ケンは胃袋にたまった、ラーメンを吐き出す。
「ケンさん、ここでリタイアです」
食べるのが難しいと判断された場合、主催者によって棄権とみなされる。参加者の命を守るために、万全を尽くす。
「ゴンゾウさんは、なかなかのスピートです」
「ハカセさんは、もう限界みたいですね」
ハカセは手で×を作った。
「ハカセさんも、リタイアするみたいです」
準決勝で3人がリタイア。5人による戦いで、決勝進出者が決められる。
「ハシラさんは、自分のペースで食べています」
勝負にこだわるというより、マイペースを貫く。ある意味で大物であり、ある意味で場の空気を読めていなかった。