47章 電車の中で熟睡した2人
おなかについては、問題なさそうだった。おにぎりをたくさん食べたことが、功を奏す結果となった。
シノブ、アオイ、ナナ、ホノカ、ツカサ、マイは何も食べていなかった。特殊な体ではないため、エネルギーを頻繁に補充する必要はない。当たり前のことなのに、とってもうらやましいと思えた。
「アオイさん、ナナさん、ついたよ」
アオイ、ナナは布団に入ったかのように、ぐっすりと睡眠を取っている。起こそうとしてもなかなか起きないような気がする。
「アオイさん、ナナさん、起きようよ」
友達駅では、18分も停車する。猶予があるので、ゆっくりと起こせばいい。心に余裕を持てるのはプラスとなる。
シノブが肩を軽く揺さぶると、アオイは目を覚ます。
「ここはどこ?」
「目的地の友達駅だよ」
「と・・・も・・・・・」
目を覚ましたばかりということもあって、発音がままなっていなかった。
「友達駅に着いたよ」
目的についたと知ると、睡眠をとっていた女性は元気を取り戻す。
「ソフトクリーム、たこ焼きを食べたい」
ソフトクリーム、たこ焼きは2大名物である。これを買い求めるために、たくさんの人がやってくる。
シノブがナナも起こそうとするものの、なかなか目を覚まそうとはしなかった。
「ナナさんの睡眠は深いみたいです」
どのように起こそうかなと思っていると、20くらいの女性駅員が姿を見せる。
「お客様、どうかしましたか?」
マイが女性駅員の質問に答える。
「ナナさんを起こそうと思っています」
女性駅員は眠っている女性に、視線を送った。
「よく眠られていますね」
女性駅員はドライアイスを頬に当てる。ナナは冷たさにびっくりとしたのか、目を覚ますこととなった。
「冷たいものを頬にあてることで、高確率で目を覚まします」
目的を果たしたものの、腑に落ちない部分もあった。できることなら、穏便な方法で済ませたかった。