29章 食料自販機設置
家に帰宅したあと、おなかがすくのを感じた。
「何を食べようかな・・・・・・・」
パンばかりではなく、米も食べたいところ。米は日本人にとって、最高のご褒美である。
スーパーで買ってきた、おにぎりを冷蔵庫に入れてある。賞味期限は切れているものの、問題なく食べられると思われる。
おにぎりは一つで250カロリーである。80個くらい食べれば、必要なエネルギーを満たすことができる。
おにぎりを食べようと思っていると、室内が真っ暗になった。
「ミサキさん、こんにちは」
「どうかしたんですか?」
妖精は優しく微笑んだ。
「アルバイトの様子を確認するために、こちらにやってきました。初めての仕事はどうでしたか?」
「初めてなので、緊張しました」
顧客と話したことで、喉はカラカラだった。あんなに緊張したのは、人生で初めてである。
「時給10~30ペソでは、ミサキさんにメリットはありません。会社で働いた場合、1時間で100ペソの特別時給をプラスします」
「1時間の労働で、100ペソをもらえるんですか?」
「はい、1時間で100ペソです」
特別時給なのに、給料をはるかに上回る。特別時給というより、大ボーナスの印象が強くなっ
ている。
「これだけのお金があれば、たくさんの食料を食べられるでしょう」
焼きそば換算にすると、20人前となる。空腹少女にとって、力強い味方だ。
「ミサキさんのために、ボタン一つで、食料を購入できるマシンを設置します。これを使用する
ことで、作り立ての食材を口にできます」
作り立てを食べられると知り、気分は最高潮になった。
「おにぎり、から揚げ、みそ汁、ラーメン、うどん、そば、餃子、春巻き、シチュー、カレーライス、たこ焼き、お好み焼きなどを、熱々の状態で食べられますね」
バリエーションが増えると知って、テンションは急上昇することとなった。
「今回はこれだけです。私は失礼させていただきます」
妖精がいなくなると、室内は明るさを取り戻した。