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14章 テレビを見る

 塩焼きそばを大量に食べたことが功を奏したらしく、5時間後も空腹になることはなかった。

 暇をつぶすために、テレビのスイッチをオンにする。夜間はどのような人が、テレビに映るのだろうか。

 テレビの画面では、男子のバレーボールが映し出されていた。左側のチームは「イケメンオールスターズ」、右側のチームは「美男子オールスターズ」となっていた。チーム名を見るだけで、趣旨がはっきりと伝わってくる。

「イケメンオールスターズ」の選手を見ると、超イケメンばかりである。それにもかかわらず、女心をくすぐられることはなかった。あまりにもイケメンすぎて、遠い世界の人間に感じられる。

 イケメンチームの選手が、サープを打った。ボールはネットに届くどころか、前にすら飛んでいなかった。選手としては、あまりにお粗末である。

 サーブを失敗したにもかかわらず、相手チームに点数は入っていなかった。こちらのバレーボールはルールが違うのかな。ルールについては、おいおい理解していきたい。

 相手チームがサーブを放つ。ボールは飛んだものの、ネットに届くことはなかった。

 イケメンがサーブを打つたびに、会場は女性ファンの歓声に包まれる。イケメンという条件を満たすなら、下手さは気にならないようだ。

 サーブがネットをこえない展開は、5分以上に及んだ。あまりにもひどすぎるのか、視聴する気持ちを失った。バレーの選手を名乗るなら、サーブくらいは入れてほしい。

 チャンネルを変えると、「ぎゅっと王子様」という番組が映った。ネーミングを聞くだけで、どのような内容なのかを理解する。

 ミサキにとっての王子様は、体を寄せたい男性である。それ以外の男性については、王子様とは思わない。

 チャンネルを変更すると、「焼きそば店」が映し出された。焼きそばを食べたばかりというこ
ともあって、縁を感じずにはいられなかった。

 テレビ画面に映っていたのは、二人の女性である。一人は18歳くらいの美女、もう一人はよく知っている人物だった。

 18歳くらいの美女は、

「シノブさん、10人前の焼きそばを、完食された人がいると聞きました」

 といった。シノブはそれに対して、

「はい。40分くらいで、焼きそばを食べていました」

 と答える。シノブの話を聞いた女性は、大げさなリアクションを取っていた。

「すごいですね・・・・・・」

「はい、無尽蔵の胃袋をしています」

 大量のカロリーを必要とするものの、無尽蔵の胃袋ではない。誤解を招くような、表現はやめてほしい。

「完食したのは、どんな人ですか?」

「私と同じくらいの女性ですね。見た目だけでいうなら、ごくごく一般的な女性です」

 テレビを見ていると、お腹がすき始めているのを感じた。あれだけの量を食べたとしても、5時間くらいしか持たないようだ。

 何かを口にしないと、空腹は加速度的に進行することになる。テレビを見たい気持ちを抑えて、冷蔵庫に向かった。

 冷蔵庫から取り出したのは、アイスクリーム10個。これだけのアイスを食べれば、小腹を満たすことができそうだ。

 テレビの前に戻ると、内容は切り替わっていた。焼きそば店ではなく、ラーメン店が映し出されていた。

 ミサキはチャンネルを変えると、美女特集が放送されていた。昼間だけではなく、夜間も美女番組を映すようだ。
 

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