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141. 何を育てるの?

 141. 何を育てるの?



「ねぇ先輩!この部屋にお花を置きたいです。やっぱり華やかな部屋のほうが楽しいですしね!」

「そういうのは自分の部屋に置けよ、なんでオレの部屋に」

「えー、いいじゃないですかー」

「ダメだっつってんだろ?」

 そう言ってオレは、ソファーに座っている夏帆の頭を軽く小突いた。

「痛いですよぉ……」

 と不満げに言いながら、夏帆は頬を膨らませている。

「だいたいお前に植物が育てられるのかよ?枯らすだけだぞ、どうせな」

「そ、そんなことないですよ!私だって何かを育てたりできますし!面倒見だっていいんですから!」

「何かってなんだよ?どうせゲームの話しだろ?」

「違いますよ!例えば子供とか?私なら絶対いいお母さんになりますよ!」

「……その自信はどこから出てくるんだよ?」

 呆れ顔で言うオレに対し、夏帆は不敵な笑みを浮かべた。

「ふふ、私は先輩の子供だったら産んでもいいかなぁって思ってますもん!」

「……へぇ~」

「あ、あれ?なんか反応薄くありませんか?」

「別に?ただお前の妄想力には感心するよ」

「むぅ~!なんですかそれ!ちょっと期待した私がバカみたいじゃないですか!じゃあいいですよ!妄想じゃなければいいんですよね?」

「は?」

「ほらほら。子供を作りましょうよ」

「おい待てやめろ」

「さぁ、早く服を脱いでください」

「ちょ、ほんとに脱ごうとするんじゃねぇよ!?」

 ソファーから立ち上がり、シャツに手をかけようとする夏帆を慌てて止める。すると夏帆は、ため息混じりにこう言った。

「もぉ……。仕方ないですね。先輩がそこまで言うなら、今日は諦めますけど……でもいつか必ず作りますからね!」

「花を育てる話はどこにいったんだよ!」

 結局いつものように夏帆に振り回されることになった。後日オレの部屋には可愛い花瓶が置かれていて、毎日水を替えたりして世話をしている夏帆の姿を見かけることになるのだった。

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