130. 意味を持つテディベア
130. 意味を持つテディベア
今日は黒崎にバレンタインのお返しを買うために夏帆と一緒に買い物に来ている。正直、お返しを選ぶのはオレには無理な話だから夏帆がいてくれて助かるが……
夏帆にはなんか悪いことをしているような気になる。だって彼氏が他の女の子に物を買うんだからな……あとでプリンとアイス買ってやろう。
「何系がいいですかね?クッキーとかは無難ですけど、冬花先輩喜ぶかはわからないですよね……」
「まぁそうだな」
確かに無難だ。でもそれじゃせっかく手作りしてくれたのに悪い気がする。何か他にないかと考えながら歩いているとふとあるものが目に入った。
「テディベアか……これなら悪くないんじゃないか?」
その商品を手に取ってみると可愛らしいテディベアだった。手触りも良さそうで抱き心地もいいだろう。値段も高くないし、ちょうどいいかもしれない。
「あー!それ可愛いですね!私もほしいです先輩!」
「ああ。一緒に買ってやるよ」
「本当ですか!?やった!」
夏帆もその商品を見て嬉しそうな声を上げる。やっぱり女子はこういうぬいぐるみが好きなんだな。まぁ気持ちはわかる。
「あっ!先輩テディベアの色で色んな意味があるみたいですよ?例えば白だと『純粋な愛』でピンクだと『恋愛成就』だそうです!」
「へぇ。なら夏帆には白のテディベアを買ってやるよ。黒崎には茶色だな『真なる友情』だとよ」
「いやーん。私が白でいいんですか?本当に?後悔しません?」
「うぜぇ……お前わかってて言ってるだろ?ほら早くレジ行くぞ」
「もうっ。照れ屋さんなんだからっ」
いちいち茶化してくる夏帆を軽くあしらいながら会計をする。店員さんが袋に入れてくれたテディベアを受け取ると夏帆はすごく嬉しそうな顔をしていた。あとは黒崎に渡すだけだな……それが難しいんだがな。