108. 甘酒フラグ。そして回収
108. 甘酒フラグ。そして回収
オレと夏帆は初詣を楽しんでいると何かの行列を見つける。一体なんだろうな?
「ん?なんか並んでますね?」
「ああそうだな、えっと……甘酒を配ってるみたいだな」
「甘酒ですか!私飲んでみたいです!先輩も飲みましょうよ!」
「うーん……まあせっかくだから貰おうかな」
列に並び、オレたちにも甘酒を渡される。熱々で美味しそうな匂いがする。オレは一口飲む。うん、普通に美味しい。
「甘くて美味しいな。というか夏帆、変なフラグ立てんなよな?」
「何ですか変なフラグって?ゲームや漫画じゃあるまいし」
「こういう時、甘酒とかで酔っ払うやつがいるだろ?」
「大丈夫ですよ!甘酒ってアルコールたいして入ってないし、子供だって飲めるんですよ?私はもう高校生ですよ?心配しすぎです!」
そう言って夏帆もゴクッと一口飲む。こいつ盛大にフラグを立ててるんだが?
「美味しいです!これなら何杯でものめちゃいますね!冷えた体に染みますね!」
「いやまぁ確かに美味しいけどさ……そんなに勢い良く飲むなよ」
すると突然夏帆が黙り込む。どうしたんだ?と思い夏帆の方を見ると顔を真っ赤にして俯いていた。
「おい、まさかお前……」
「ふぇへへ〜せんぱ〜い!」
夏帆は完全に出来上がっていた。顔は真っ赤だし目はトロンとしている。新手のギャグかよこいつ……。
「せんぱい〜」
そして夏帆はいきなり抱きついてくる。
「ちょ、おまっ!?離れろって!」
「嫌れす〜わたしのこと嫌いなんれすか〜?」
とりあえずこのまま帰ろう。本当に面倒なやつだな。夏帆をおぶると背中から幸せそうな声が聞こえてくる。全く、世話がかかる後輩だよこいつは。
「ねぇせんぱい~帰ってぇ~しましょうよぉ~」
「は?何を?」
「もう!わかってるくせにぃ~ふぇへへ~」
「うるさい!寝言は寝てから言え!」
うぜぇ……とにかく今は家に帰ることだけを考えよう。こんなところで騒いだら迷惑になるしな。こうしてオレは新年早々疲れ果てるのだった。