107. おみくじは見てるので
107. おみくじは見てるので
「ねぇ先輩!おみくじ引きましょうよ!せっかくだから大吉とか引いてみたいですね!」
「誰もそう思ってんだけどな。まぁやってみるか」
オレと夏帆はおみくじの箱からおみくじを引く。
「お願いお願い!神様お願い!」
……祈りすぎだぞお前?そんな夏帆を見ながら引いたおみくじは「吉」だった。まぁ無難だな。
「わぁ!大吉です!きっと新年早々いいことありますよこれ!先輩は?」
「オレは吉だったよ」
「あー、ちょっと微妙でしたね。でもきっといいことありますから!」
なんでこいつに励まされてるんだオレは?意味分からんぞ?
「あっ!そうだ先輩。おみくじになんて書いてあったんですか?『恋愛』のところ!」
「え?えっと……『恋愛:待ち人来る。待てば必ず叶うでしょう』だってよ」
「どういう事ですか?浮気ですか!?私は違うんですか!?」
「は?」
「おみくじにそう書いてあるじゃないですか!私とは遊びだったって言うんですか!?」
うぜぇ。こいつ何言ってんだよ?おみくじの結果に怒ってるやつ初めて見たんだが。
「そういうお前はなんて書いてあるんだよ?どうせ同じようなことになるからな?」
「そんなわけないじゃないですか!『恋愛:待ち人いる。待ち人はもう近くにいる。運命の人』ほら!」
そんな馬鹿な……。オレのおみくじ本当に吉なのか?こんな面倒なことに巻き込まれてますよ神様?
「ひどいです先輩。普段から私への愛が足りない証拠ですよ!だからおみくじにそう書いてあるんです!罰として帰ったら私とゲームして遊んでください!」
「それはいつも通りだな」
結局、なんかいつもと同じようなやり取りをしていた。こいつのウザさにも慣れたかもなとか思うオレがいたのだった。