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95. 言わなくてもいいよ

 95. 言わなくてもいいよ



 今日は週末。夏帆がいつものように夕飯を作っている。たまには手伝ってやろうかなとかふと思ってみたりする。

「なぁ夏帆?たまには夕飯作るのを手伝ってやるか?」

「え?……なんでですか?」

「なんでですかって言われても……いつも作ってもらって悪いなと、ふと思っただけなんだが?」

「ふーん……」

「なんだよその顔?」

「いや先輩。男の人ってやましいことがあると、普段と違う行動するらしいですよ?まあ先輩に限ってそんなことないと思いますけど」

 なんだよこいつ。人の善意を踏みにじりやがって。しかもなんかすごい馬鹿にされた気がするんですけど……。オレの信用度低すぎじゃね?

「そういうことされると不安になりますよ?先輩、私のこと本当に好きなんですか?」

「聞くなよ!好きだよ!悪いか!?」

 自分でもびっくりするほど大きな声が出た。というか無意識だった。

「……っ!」

 どうやら夏帆も同じようだ。二人して顔を真っ赤にしている。何これめっちゃ恥ずかしいんですけど……。

「いや……そんなハッキリ言われると私も照れちゃいますよぉ~」

「お、お前が聞いたんだろうが!」

「そ、そうですね!私も先輩が好きですから安心してくださいね!」

「知っているよ。いちいち言わなくていいだろ、恥ずかしい……」

 このやり取りを客観的に見た人は絶対にバカップルだと言うに違いない。でも実際問題として付き合っているんだから仕方がない。

「その……じゃあ手伝いお願いしますね?」

「ああ……」

 結局、この後は仲良く夕飯を作って美味しく夕飯を食べたのだった。

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