21. 神様はいないんですね
21. 神様はいないんですね
すごい大量に買ってしまった……結局、オレの部屋のキッチン周りが充実してしまいそうだ。自炊しねぇのに……。
「さてと。まぁ先輩はゆっくりゲームでもやっていてください!」
「ああ、そうさせてもらうよ。」
「あっ!言うの忘れてたんですけど?」
「なんだよ?」
「もし、私の手料理が美味しかったら毎週週末は先輩の家で夕飯作って一緒に食べるってことでいいですよね?」
「は?良いわけねぇだろ!」
は?勝手に決めてるよこいつ……。しかもあたかも当然ですよね?みたいな顔しやがって……気にいらない。
「良く考えて見てくださいよ先輩。ちゃんと栄養のつくものが食べれるし、お金もそんなに減らない、しかも可愛い彼女の手料理なんですよ?良いことだらけですよね?」
「最後のは一旦置いておく。オレの時間がなくなるだろうが!」
「どうせご飯食べてるときなんて、テレビ観たり、スマホいじったりしてるだけじゃないですか。それなら2人でご飯食べた方が楽しいですよね?違いますか?」
その顔をやめろ……。くそっ……こいつに何を言っても無駄だ。要はこいつの料理が美味しくなければいいんだ。難しく考えなくていい。
「分かったよ。とりあえずオムライスを作れ。」
「えぇー?なんか適当ですね……。まぁいいですけど……」
白石はそのままオムライスを作り始める。……こいつ手際がいい。普段から料理をしているのか?期待を裏切るなよ……白石。
……しかし意外だった。こいつめっちゃ家庭的じゃないか。認めたくないんだが……。
「あとはハートを書いてっと。出来ましたよ先輩。」
「おっおう……ふーん……まぁ食べれそうだな。良かった良かった。」
ヤバい……すごい旨そうだ。
「先輩。なんか動揺してません?私が料理できないと思ってたんでしょ?」
「いや?オムライスくらい作れるだろ。見た目は悪くない。問題は味だけどな?」
「失礼ですね。まぁ食べてみてくださいよ。夏帆ちゃん特製のオムライスなので」
頼む……砂糖と塩とか間違っててくれ!卵の殻とか入ってろ!玉ねぎも生で辛いままでありますように!神様!
オレはそのオムライスを一口食べる。
「どうですか?美味しいですよね?私の愛情がこもってますから!」
「うん……普通に美味いな。」
うわぁあああああああ!!!!!
「もう先輩ったら。照れちゃいますよぉ〜」
くそっ……何でこんなに悔しいんだ!?不味かったら笑えるはずなのに……全然嬉しくねぇ……。逆に腹立つぞ……。神様はいないんですね……。
「じゃあ約束通り、週末は先輩の家で夕飯を食べることに決定ですね!やった!」
こうして、オレの時間は削られていくのだった。