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17. 何なのかはわからない

 17. 何なのかはわからない



「あの先輩。ジュースもらってもいいですか?」

「ああ。いつも勝手に冷蔵庫を開けて、プリンやアイスとかを食べるくせに、なんでジュースの時だけ聞いてくるのかは疑問なんだが?」

「だってジュースは先輩も飲むじゃないですか!」

「いやプリンもアイスもオレが食べたいから買ってるんだけどな?」

 オレは白石のコップにオレンジジュースを入れてあげると、彼女は美味しそうにゴクゴク飲んだ。ぷはーっ! と息をつく。

 良く考えたら白石のコップがあるのが気に入らない。かと言って専用のコップを使わせないと、『もしかして先輩、私と間接キスしようとしてます?』とか言いそうだからな。

「ありがとうございます!……先輩って本当に優しいですよね。さすが私の彼氏ですね!」

「彼氏じゃないからな?ジュースくらい自分で買ってこい。」

 適当に受け答えをしながら、オレは自分のコップにもオレンジジュースを入れた。

「もう、先輩ったら照れちゃって〜。可愛いんだから!」

「はいはい」

 適当にあしらいながら、オレたちは2人でソファーに座ってテレビを見ることにした。それをボーッと見つめていると、ふと横にいる白石が気になった。

 よく見ると、やっぱり可愛い顔をしている。まつ毛は長く、肌は透き通るように白い。そして肩にかかるくらいの髪はサラサラだ。そんなことを考えていたせいか、無意識のうちに白石の横顔に見惚れてしまっていたらしい。

「ん?なんですか先輩?」

「えっ!?いや別に……」

「もしかして私のこと見てました?」

「見てねぇよ!」

「ホントですかぁ?まあいいですけど〜」

 白石はニコッと笑みを浮かべた。その笑顔を見た瞬間、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。この気持ちが何なのかは分からないが、とても心地の良い気分だった。

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