アルーラ、婚約を解消される
「アルーラ、申し訳無いがレイナルド王子との婚約をミレイユに譲ってくれないか?」
「……はい?」
お父様に呼び出され書斎に行き開口一番がそれだった。
「え~とそれはつまり私との婚約は解消する、と言う事ですか?」
「そういう事だ。 殿下からの希望で国王にも許可はもらっている」
そう言ってお父様は私に1枚の紙を渡した。
そこには婚約解消届と書いてありレイナルド様の署名と、国印が押してある。
つまり正式な書類と言う事だ。
「後はお前が署名するだけだ」
そう冷たく言うお父様。
私は書いてある文をじっくりと読んだ。
(あぁ〜、要はミレイユと隠れて付き合っていたのね)
要するに浮気していたのだ。
まぁ、確かに私はレイナルド王子とは婚約していたけど仲が良いとは言えない。
何せあの人は私の事を見下し馬鹿にしている。
愛の言葉なんて言われた事無いし、常に上から目線、だけど外面は良いから皆を上手く丸めこんでいる。
(ミレイユも私の物を欲しがるけど婚約者まで欲しがるとは、ね)
ミレイユは私の1個下だが両親から甘やかされてワガママに育てられた。
私は長女と言う事もあり厳しく育てられたので性格は対称的だ。
昔から私の物を欲しがる性格で文房具から始まりリボンや小物、終いには洋服も盗られた。
しかも私の許可なく勝手に、だ。
『お姉さまには似合わないから私が貰うわね』とか言って。
まぁ、最近では対策として私の物は別の場所に保管してあげても良い物は部屋に置いてある。
「……解消の件は承りました」
そう言って私は届にサインをした。
「それで私から1つお願いがございます」
「……なんだ?」
「私にお父様の所有する別荘を1つください。出来れば王都から離れた所が良いです」
私の言葉にお父様はポカンとした表情をした。
「流石に私が一緒に生活するのはお互いに気まずい部分があると思います。ですから私が出ていくのが1番だと思うんです」
「……それで良いのか?」
「構いませんわ」
「わかった、すぐに用意しよう」
「ありがとうございます」
内心、私はガッツポーズをしていた。