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「もう真冬だからな。冬のダイヤモンドが見えるぞ」
「え、どれ?」
 冬のダイヤモンド。
 いつかのカフェ、ノートをプレゼントしたときにリゲルが話してくれたことだ。
「ええとな、あそこのあれ。見えるか。あれとな、その少し下のを繋いで……」
 リゲルの指が、宙を滑る。ほんとうに星をなぞっているわけでもないのに、ライラにはそのダイヤモンドのかたちがわかった。
「で、あれが『リゲル』」
 しかし指されたものには疑問を覚えた。その星は白く見えたのだから。
「……オレンジじゃないよ」
 てっきりオレンジ色、というか、琥珀色の星だと思っていた。そういう色だからリゲル、星ではなく今ライラの隣にいるひとは、琥珀色の瞳を持っているがゆえに、その名をつけられたと思っていたのだから。
 不思議そうに言ったライラを、リゲルはおかしそうに覗き込んできた。
「オレンジの星だなんて言ってないだろ」
「だってノートには」
「あれは絵だから。大体、あれは全部オレンジで描いてあっただろう。ほんとうは全部違う色だ」
 そんなやりとりをして、教えられたこと。
「白く見えるだろうがほんとうは、青を帯びた白だっていうんだ」
 今度ぽかんとするのはライラのほうだった。

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