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27章 水の中

 五時間ほどで仕事場に到着。セカンドライフからすぐの場所だと思っていたので、仕事場の遠さに唖然としてしまった。

 空を飛び続けていたものの、疲労については全くなかった。何もしていなかったかのように、ピンピンとしている。

 仕事場の水色は透き通っていた。異物を含んでいない水は、こういう色をしているのかなと思った。

 アカネは何もつけずに水の中に潜る。すぐに息苦しくなるかなと思ったけど、そんなことはなかった。地上にいるのとまるで同じだった。空気を吸わなくても生きられるスキルは本物のようだ。

 窒息しないなんて、従来の人間では考えられなかった。アカネは貴重なスキルを、大切に使っていこうと思った。

 水の中を移動すると、魚が泳いでいるかのように、すいすいと移動できるではないか。アカネは本物の魚になったかのような気分になった。

 水の中を移動すると、小さな魚を大量に発見する。水族館やテレビ画面で見たことはあるけど、近くで見るのは全然違う。魚本来の躍動感が伝わってきた。

 アカネは水の中を鮮明に映し出せるカメラで、小さな魚をカメラに収めていく。50000枚までOKといっていたので、よほどのことがない限りは問題ないと思われる。

 巨大ダコらしき生物がゆらゆらとしているのを発見。こちらもきっちりとカメラに収めていく。写真の数は多ければ多いほどいい。写真の枚数=きっちりとした仕事をしたことの証明になる。

 サケ、オタマジャクシ、イルカなどを発見。セカンドライフの街には、現実世界と同じ生き物が生活しているようだ。

 現実世界と同じ生き物だけかなと思っていると、見たことのない生物を発見することとなった。一言で表現するなら、ザリガニ、タコ、烏賊を足して3で割ったかのようだった。何という名前なのだろうか。

 不思議な生き物に目を取られていると、信じられないものを目撃する。水中に犬らしき動物がいるではないか。現実はそうではないのかもしれないけど、形は明らかに犬と酷似していた。

 犬の次に捉えたのは猫さながらの生物だった。全身を覆っている毛は、どこから見ても猫にしか見えなかった。

 犬や猫に似ている生き物は、水の中をすいすいと泳いでいく。これまでに見たことのない光景だっただけに、違和感はぬぐえなかった。

 アカネは犬や猫のような生物の後ろを追い、写真に収めていく。二枚以上収めて、一枚は自分の手元に置いておこうかな。

 水中にもかかわらず、野菜、チョコレートといった食べ物があった。これらはどのような原理で作られているのだろうか。「セカンドライフの街」では、野菜、チョコレートができる条件が異なると思われる。

 犬は野菜を引っこ抜いたあと、モグモグと食べている。野菜は食べられないと思っていただけに、驚きを隠せなかった。

 猫はチョコレートを食べていた。猫=キャットフードの概念があったため、常識を覆されることとなった。

 猫がチョコレートを食べる様子を眺めていると、巨大な生物がこちらに接近しているではないか。衝突するのはまずいので、咄嗟にかわすことにした。

 緑色の魚を発見する。魚というよりは、植物に近い性質だった。

 次に発見したのはザリガニ。赤色、青色などは見たことがあるものの、黒は記憶になかった。何を食べたら、全身が黒色に染まるのだろうか。

 黒いザリガニだけかなと思っていると、真っ白、レインボウ、銀色などもあった。こちらのザリガニは、自由自在に身体の色を変えられるのかもしれない。
 
 ザリガニの次に発見したのは、金魚といわしを足して、2で割ったような生き物だった。アカネが命名するなら、「金魚イワシ」になる。単純かもしれないけど、それ以外はネーミングのつけようがなかった。

 枝豆を思わせるような、生物を発見する。心臓と胃袋が非常に大きく、それ以外は細くなっていた。頭があまりに小さいからか、バランスの悪さだけが印象に残った。

 新種を次々と発見する。アカネは水の中を鮮明に映し出せるカメラで、次々と生物を収めていく。

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