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2. 四大天使

「私たちは天使。四大天使のミドエル、ラザクエル、サルマエルです。そしてあなたは、その四大天使の一柱(ひとり)…ウェルシエルです。」
「…は?」

おっと、また感想をそのまま声に出しちゃった。でも、今度も仕方ないと思うの。四大天使って、名前からしてなんか凄そうだし、私がその一柱とか、理解しようとしてもできるわけがないでしょ。ついでに、まず私が天使ということ自体、理解できていない。だって、ほんの数十分前まで、私は普通の人間として生活していたのだから。私が天使なはずはない。はずがないんだ。

「お前が天使ということは、お前の背中についてるものが証明してるぞ。」
「…エスパー?」

男の天使…ラザクエルだっけ?、突然話しかけてきて、またまた感想が漏れ出てしまった。私、まだ何も言ってないんだけど。それとも、無意識に言っちゃった?

「エスパーっていう訳じゃない。天使同士は、思念で語り合えるから、それを利用して、思念を読んだまでだ。」

思念を読む?そんなことできるのか…って、ちょっと待って。この人…天使たち、私が天使とかいうけどさ、私はここにいる天使たちの思念なんて、これっぽっちもわからないよ?つまり、私は天使じゃないっ!…とは、ならなかった。

「それより、自分の背中に触れてみたらどうだ?嫌でも自分が天使だと分かるはずだぞ。」
「背中…?」

まさかと思いつつ、背中に触れる。すると、肩甲骨が何故か伸びていて、思わず振り返ると…大きな白い翼があった。…マジか。
あまりの出来事に私がポカンと口を開けたまま固まっていると、

「な?お前は天使なんだ。四大天使、ウェルシエルなんだ。」

と、ラザクエルが言ってきた。な?じゃないわっ!と思ったけど、それどころじゃない。翼があるという事実で、私は天使っていうことになっちゃったじゃん。
私は天使、四大天使のウェルシエル…。でも、私には、私が天使であるという記憶が全くないんだけど…?というか、重要度が低くてずっと放置していたけど、そもそも、四大天使って何?

「四大天使というのはな、天使の中の天使、最強の四人の天使なのだ!」

ミドエルが私の思念を読んで、自信満々に答えてくれたけど、あまりよくわからなかった。

「四大天使というのは、四人の天使で構成される、最強天使軍団です。」

女の天使…サルマエルが話してくれたが、ミドエルの説明とほぼ一緒でやはりわからない。

「大体は2人の説明で合ってるぞ?付け加えるなら、四大天使にはそれぞれ仕事があって、四大天使長のミドエルは、全ての天使を束ね、俺は地の世界を管理し、サルマエルは、地の世界と天の世界の間にある、狭間の世界を管理する。」

うーん、なんとなく、分かったかな?
ん、待てよ、じゃぁ、ウェルシエルにも仕事があったのかな?

「ウェルシエルには、どんな仕事があるんですか?」
「ウェルシエルは、天の世界の管理者なのだ。天の世界の管理者が居なくなったから、大変だったのだ。」

天の世界の、管理者…?そんな大きな仕事を持っていたのか、私は。全く記憶にないけど。
とりあえず、四大天使については何となくわかった。まぁ、ミドエルとサルマエルの言葉を借りるなら、天使最強の四人の集団で、ラザクエルの言葉を借りるなら、それぞれを管理しているということなのだろう。
すると、ミドエルがとんでもないことを言い出した。

「ところでサルマエル、なんでウェルの天使の時の記憶がないんだ?記憶を持ったまま転生させたんじゃ無かったのか?」



つづく

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