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不知火課長と同じ苗字だっただけよ。
そもそも課長親族に、こんな爽やかなイケメンが居るとは、想像しにくい。
きっと親族関係も怖そうな人ばかりのはずだ。
「菜々子さん。よだれが出ていますよ……?」
イケメン店員の大宮君がそうツッコミんできた。
おっと……いけないわ!?
私は、慌ててよだれを拭くと咳払いをする。
「採用にあたり、ここのランク分けを知っているのかしら?」
「ランクですか……?」
私がそう質問すると意味が分からず首を傾げていた。
あら、その表情……可愛いわね。
首の傾げ方も可愛く思えるのがイケメンの特権よね。
「まず私のお店では、ランク分けをしているのよ。
上からAランク。Bランク。Cランク。
Aランクは、最高ランクでエリートイケメン。
Bランクは、中間クラスの普通のイケメン。
Cランクは、最下位の雰囲気イケメンという感じかしら」
もっと詳しく説明するとランク分けには、色々と意味がある。
Aランクは、イケメンだけではなく、それに相応しい接客態度も必要だ。
いかに自分を良く見せるか知り尽くした最高級イケメン。そのため少数しか在籍していない。
Bランクは、一般的に多い人数で色々なキャラがいる。
上を目指しているため努力をしている子達が多く在籍している。
キャラも様々で自分のピッタリな好みのイケメンを見つけやすい。
Cランクは、皆に認められるには、まだまだなイケメンが在籍している。新人が主に、このタイプだ。
上に上がるほど時給アップ。
特別手当てもあるのが魅力的だ。
このランクに上がるためには、月に1度お客様のアンケートがあり、そこで選ばれる事と
オーナーである私に認められるのが条件だ。
だから皆。私に気に入られようと必死になる。
例えそのための媚びを売ってるだけだとしても、この制度を変える気はない。
そのお陰で私は、イケメンにちやほやされるのだから素晴らしい制度だわ。
「菜々子さん?」
ハッっ我に変える。
おっと……いけない、いけない。
つい、ちやほやされている自分を想像していたわ。
私は、気を取り直して詳しく説明をしてあげた。
「は、はい。分かりました。
俺も上に上がれるように頑張ります」