戦闘
「メイド、マスター、マスターの部下が現れた」
「メイド」は中国に出てくる映画のような衣装をしていた。太腿のラインがくっきりと見えていた。
「マスター」は舞台監督さながらだった。「メイド」と一緒にいると、上司と部下に見えなくもない。
「マスターの部下」はボディガードさながらだった。三人の中では一番強そうに見える。
1対3の場合は弱そうなやつから順番に倒すのが鉄則。1対1に持ち込むことで、相手に集中できる環境を整える。
クスリは「こうげき」コマンドを選択した。
「メイドに300のダメージを与えた。メイドは息絶えた」
「マスター」、「マスターの部下」を撃破すれば、事件の真相を知る者は一人もいなくなる。誰かに訊かれたら、「三人が自殺を図りました」と答えておけばいい。真実を知っていたとしても、死人に口なしである。
「マスター」は「しゅりけん」を投げつけてきた。コントロールはよく、クスリの心臓を直撃する。
「クスリは35のダメージを受けた」
飛び道具の威力は控えめになっているのかな。プレイヤーとして使用する際の参考にしよう。
「マスターの部下」は素早い動きでこちらにやってくると、槍で心臓を一突きされた。
「クスリは120のダメージを受けた」
クスリはあんまり強くない「マスター」を先に倒してしまおうかなと思った。1対1にしなけれ
ば、戦闘の分はかなり悪くなる。
「マスター」を攻撃すると、こちらもあの世に旅立っていった。残るは「マスターの弟子」だけである。
「マスターの弟子」はファイアーの呪文を唱える。見た目は普通なのに、こんなこともできるのかよと思ってしまった。
「クスリは200のダメージを受けた」
HPは残りわずか。クスリはハイドラッグで満タンにすることにした。
「マスターの弟子」は心臓をやりで一突きしてきた。通常の人間なら、100パーセント近い確率であの世に旅立つ。
「クリティカルヒット。クスリは370のダメージを受けた」
敵からもクリティカルヒットを受けることもあったのを忘れていた。一定確率で攻撃力は数倍になる。
またまた瀕死状態になったので、「ハイドラッグ」でHPを回復する。こんなことを繰り返していても前に進めないとわかっているものの、復活できないだけに慎重にならざるを得ない。
「マスターの弟子」は飛び蹴りをくらわしてきた。攻撃手段は多彩なようだ。
「クスリは140のダメージを受けた」
「マスターの弟子」の攻撃力は高いものの、「メイド」、「マスター」と同じ人間にすぎない。攻撃を一度食らわせたら、闇に葬れるはずだ。
クスリは「たつじんのけん」を振り下ろそうとすると、どういうわけか「シールド」らしきものが登場した。
「マスターの弟子は攻撃を防いだ」
「シールド」でバリアされ続けたら、攻撃され放題ではないか。一方的に殴り続けられるなんて、ありえないシステムではないか。
「マスターの弟子はフルファイアーの呪文を唱えた」
マスターの全身が炎に包まれたのち、「ファイアー」が五回にわたって、いたるところに飛ばされていた。
「建物は炎に包まれた」
先ほどまでなかったはずのタイムリミットが表示されていた。時刻は4:00と表示されたのち、一秒ずつ減らされている。
四分以内に「マスターの弟子」を倒せなかったら、ゲームオーバーになる。クスリは突然の事態に、パニックを起こしそうになった。
「クスリ」は「たつじんのけん」で攻撃を仕掛けるも、「シールド」を貼られてしまうこととなった。
「マスターの弟子は攻撃を防いだ」
タイムリミットは刻々と迫っている。クスリはタイムが減っていくたびに、心の中で焦りを感じた。
今度はどのような攻撃を繰り出すのかなと注視していると、ゴキブリのようなものを室内に大量にはなっていた。
「室内はゴキブリまみれになった」
プレイヤーに害をもたらすのかなと思っていると、マスターの炎によって全部が焼き殺されてしまった。
直接攻撃は二度とも跳ね返された。「しゅりけん」といった間接タイプなら、命中させられるかもしれない。
クスリは「しゅりけん」を投げつけることにした。今回は「シールド」は作動せず、「マスターの弟子」の心臓を捉えた。生身の人間という設定なのか、あの世に旅立つこととなった。
「マスターの弟子を倒した」
三体を撃破すると、元の世界に戻された。先ほどまであったはずの業火は完全に消えていた。