バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

再度の戦闘

 HPを満タンまで回復させておこう。敵がいつ現れないとも限らない。

 別の女性が室内に入ってきた。こちらは女子高生かなと思わせる肌の色をしていた。

「悪党四人組を倒していただいたのですね。ありがとうございます」

 クスリは目の前の女性についても信用できなかった。こやつが棟梁だという可能性も残されている。

 身元をどのように確かめようかなと思っていると、女性は先手を打ってきた。

「私は敵ではありません。安心してください」

 敵ではないと主張する奴に限って、危ないというのはよくある話。クスリは警戒レベルを上げることにした。

 女子高生の知能レベルは高くなさそうだ。こちらがアクションを起こさなくとも、勝手にボロを出すはずだ。コミュニケーションの低いタイプというのは、こういうときは扱いやすい。

 女子高校生さながらの女は、豪華な食事を提供する。最初の宿に劣らぬ食材ばかりだった。

「豪華な食事を用意しました。ゆっくりとご堪能ください」

 豪勢な食事に興奮することとなった。現実世界ではどんなに頑張ったとしても、このような飯にありつくことは不可能だ。

 クスリはがっつこうかなと思ったものの、食べ物を口にすることはなかった。アンモニアさながらの強烈な臭いを鼻孔で嗅ぎ取る。

「食べ物から変な臭いはしませんか」

 女性の目線はこちらから逸れた。やましいことがあるのはすぐにわかった。

「そ・・そんな・・・・・ことは・・・・ないですよ」

 クスリは食事を突き返すことにした。毒の入った食べ物を口にするわけにはいかない。

「安全であることを証明するために、最初に食べていただけませんか」

 女子高生はあくまでとぼけていたものの、視線は定まっていなかった。

「私は食べましたよ。身体に何の異常もありませんでした」

 クスリは感情的になることなく、冷静に話を進めた。

「目の前で食べてください」

 動揺しているのか、目ははっきりと泳いでいる。頬からは冷や汗が滲み出ていた。

「料理に毒なんて入っていません。さあさあ、食べてください」

 クスリは変なにおいがするといっただけで、毒入りであることを追及したわけではない。それにもかかわらず、毒という表現を用いるのはおかしい。食べ物に毒物を仕込んだのは、女子高生だと確信する。

「僕は毒については言及していません。どうしてそのような表現になったのかを説明してください」

 これ以上のごまかしは訊かないと思ったのか、うすら笑いを浮かべながら、皿を払いのけていた。

「ばれてしまったものはしょうがねえ。あなたを闇に葬らせていただきましょう」

 電流ゾーンといい、鬼畜ゲーを極めている。ちょっとくらいは安息の時間をほしい。

 数秒後、戦闘画面に切り替わることとなった。

「女子高生が現れた」

 女子高生なので簡単に倒せるのではなかろうか。見た目は華奢ゆえに、強そうには見えない。

 クスリは毒殺しようとした女をどのように料理するのかを考える。美人ではあるものの、命を狙うものには容赦はしない。

「たつじんのけん」で攻撃を仕掛ける。「マスターの弟子」のときと同じく、「シールド」が貼られることとなった。

「女子高生は攻撃を回避した」

 回避したというより、勝手にシールドに防御されたように感じた。クスリは「たつじんのけん」の性能に、違和感を持ち始めるようになっていた。剣自体が偽物なのかもしれない。

「たつじんのぼうぐ」を装備していた場合、ダメージは数倍に膨れ上がっていたのかな。クスリはその答えを知ることはできない。

 女子高生は短剣を首筋めがけて振り下ろしてきた。クスリの体内は激痛に見舞われることになった。

「クスリは30のダメージを受けた」

 ダメージは小さく、大した敵ではなさそうだ。目の前の女をとっとと片付けて、冒険の世界に戻るとするか。

 クスリは「しゅりけん」を投げつける。今度は「シールド」は貼られず、女子高生の心臓に命中することとなった。

「女子高生を倒した」

 女子高生を撃破すると、先ほどとは異なる宿に飛ばされることとなった。こちらが本物なのかな。

「すいみんメーター」は、あと四時間後に睡眠が必要と書かれていた。三日三晩ごはん抜きならかろうじて我慢できるものの、睡眠はきっちりととる必要がある。クスリは布団で横になることにした。命を狙われるリスクはあるものの、野宿よりも安全性は高いと思われる。無防備のまま、六時間くらいの睡眠を取るのはあまりにも怖すぎる。

しおり