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36話〜力加減

 大虹色スミレはガルドに襲い掛かろうとしていた。

 ガルドはマリアンヌを守りながら、大虹色スミレがどう動くか様子を見ていた。

(マリアンヌを守りながら、こいつとやり合うとなると上手く戦えねぇ。どう戦えってんだよ。クソッ!よりにもよってこんな所に……。しかし、いったいマリアンヌはここに何をしに来たんだ?)

 そう思い考えていると大虹色スミレが麻痺の粉をガルドの周辺に撒き散らした。

 ガルドはそれに気付き、咄嗟に口と鼻を塞いだ。

(やっぱり、このままじゃ戦いにくい……)

 そう思っていると大虹色スミレはガルド目掛け二本の蔦を鞭のようにしならせながら交互に攻撃してきた。

 ガルドは剣で蔦を斬るがやはり再生してしまい埒が明かず、

(クッ、どうしたらいい。そういえば、確か転職して魔法戦士になったはず。ただ、どう使いこなせばいいんだ?)

 そう思い考えていると何十もの虹色スミレがマリアンヌに襲い掛かろうとしていた。

「あ〜、クソッ!?」

 そう言うとガルドは、大虹色スミレに体当たりした。

 そして、大虹色スミレが怯んでいる隙に、ガルドは体勢を変えると、マリアンヌに襲い掛かろうとしている、虹色スミレの群れ目掛け、剣を両手で持ち、地面スレスレに刃を平行にし構え、左脚を前に出し右膝をつき、右後ろに体を捻り、思い切り草を刈る様にスイングした。

 ガルドが力任せに剣をスイングし、風圧を起こし虹色スミレの群れを薙ぎ払い倒していった。

 だが、何も考えずに攻撃をした為、その風圧に巻き込まれマリアンヌは宙に浮き、岩壁に激突し落ちそうになっていた。

 ガルドはそれを見て慌ててマリアンヌの方へと向かった。

「あ〜やべぇ!やっちまった……」

 そう言いながらガルドは、落ちてくるマリアンヌをダイビングしキャッチしようとするが、勢いを付け過ぎてしまい、

「うわぁ〜!?」

 と、言いながら岩壁に激突し、マリアンヌはガルドの上に落ち無事だった。

 しかし、岩壁に激突した時に目を覚まし額から少量血を流していた。

「……え、えっと、私ここで何をして……その前に、頭がズキズキして、痛いのだけど?」

 そう言いながらマリアンヌは辺りを見渡しながら、ガルドが自分の下になっている事に気付き、

「ガルド、何をしてるの?」

「マリアンヌ。頼む目を覚ましたんなら、俺から離れここから逃げてくれねぇか?」

 そう言われマリアンヌは訳が分からなかったが、ガルドに体当たりされ怯んでいた大虹色スミレが体勢を整え、こっちに向かって来ているのが見え状況を何となく把握し、

「ガルド。これって……」

「クソッ!ここは俺が何とかする。マリアンヌはここから逃げてくれ」

「分かったけど。ガルド、貴方っていったい何者なの?」

「そんな事を、今この状況で話している場合じゃねぇ。その事は後で話す。いいからこの場を離れてくれ!」

 そう言うとマリアンヌは頷いた。

 するとマリアンヌは水晶を頭上に掲げ、

 《聖なる光のバリア!!》

 そう言うと水晶から光が降り注ぎ自分を覆った。

「ガルド。後でちゃんと色々と聞かせて頂きますからね」

 そう言うとマリアンヌは辺りを確認しながら、暗がりを恐る恐る洞窟の外へと向かった。

 まだ残っている虹色スミレはマリアンヌを追おうとした。だが、ガルドが空洞の出口でそれを遮り、身構えていたので追うことはできなかった。

 虹色スミレの群れはガルドの気配に警戒しながら大虹色スミレの後ろに逃げていった。

 すると、大虹色スミレはガルドに攻撃を仕掛けようとしていた。

(ふぅ、これで思いっきり力を出せる。でも、マリアンヌが額の傷の事に触れなかったからよかったが、気を付けねぇとな……)

 そう言うとガルドは剣を持ち身構えながら、大虹色スミレの動きに警戒していた。


 その頃、マリアンヌはひたすら洞窟の外に向かっていた。

「ガルド。大丈夫なのかな?でも何故、虹色スミレがあんなに怯えていたのかしら?つう、だけど何で、私は額から血が出ているの?まぁ、ガルドが無事ここから出て来れるようなら、後でこの事も踏まえて聞かないとね」

 そう言いながらマリアンヌは洞窟の外に出ると、森から街へと向かった。

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