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32話〜伯爵令嬢

 サアヤとルルシアは、昨晩起きた事をギルドで話していた。

「……という事なんだが。ルルーシアは、どう思う?」

「そうなると、私が感じたあの力って、魔力をこめるだけで使えない武器でも、自分が使えるように変えてしまう力だったというの?それに、ギルドの水晶が割れたのも、その力のせいかもしれないと……」

「ただ、あの力が何なのか、本当の事が分からない」

「そうですね。実際、それを確認しなければなりませんし、今日また宿屋の方に行こうと思っていたので」

 そして、サアヤとルルーシアは宿屋に向かった。


 あれからブラットは宿屋に戻っていた。

 部屋にはグレンとフリックもいる。

「ヴィオレッタが、何でここにいる。また家出か?」

「ああ、そうらしい」

「ふ〜ん、家出なぁ。そんなに家が嫌なのか?」

「そうらしい」

 そう話しているとサアヤとルルーシアが部屋に入ってきた。

 そしてサアヤが、

「フリック、今からみんなで話したい事があるからフェリアとコトネを呼んできてくれないか!」

 そう言われフリックは隣の部屋に行った。

 そして少し経ってからフリックはフェリアとコトネとヴィオレッタを連れて来た。

 するとサアヤはヴィオレッタを見て、

「フリック、もう1人は誰なんだ?」

 ルルーシアはヴィオレッタを見て、

「あ〜、ヴィオレッタ!また、家出ですか?これで、何度目なのですか」

「知っているのか?」

「知ってるってもんじゃありません!レックス=アッズィロ伯爵の御息女でありながら、何度も家出を繰り返している有名人です」

「ヴィオレッタ=アッズィロと申します。ルル、前にも言ったけれども、私はあの家もお父様も嫌いなのです」

「ですが、またレックス様は、ヴィオレッタ、貴女を連れ戻す為に何をするか分かりませんよ」

「私は、絶対嫌です!あんな所に戻るくらいなら、ブラットと旅をした方が楽しいと思いますの」

「俺は、別に構わないけど、本当に大丈夫なのか?」

「私は、大丈夫ですの」

「まぁ、この話は後にして、本題に入りたいのですが」

「それもそうだな。ブラット、昨晩起きた事を皆で話し合いたいと思う」

 そしてサアヤ達は昨晩起きた事を話し始めたのだった…。

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