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四章 かさ地蔵(四話)

「三人に元の谷野から話したい事がある。」
「あのさっきから元とか何ですか?あなたは谷野ですよね?」
メタナセがそう質問すると、谷野は答えた。
「まず俺は谷野だ。だが、今は別人格と言うべきか・・・。今は元の俺、三人がよく見ているのは1の俺だ。」
「うーん、私達が今までいたのは1の谷野って事?」
メタナセは少し疑問の様子でそう聞いた。
「そうだ。元っていうのはアカネ。君にあるんだ。」
「うん。」
ヤノはアカネに笑顔でこう言った。
「中学校時代、君のと過ごした日々を俺は覚えているぞ。本当に辛かっただろうが、頑張ったな・・・。」
「谷野・・・。」
アカネは目に涙を浮かべた。本当に辛かった日々を一通り終わったからだ。
「あと、1の俺についてだ。Mr.キャットの考え通り、俺は『傘使い』の能力者だ。」
「やっぱりな。所で何で俺の時間停止の中でも動けたんだ?」
Mr.キャットはそれが全くわからなかった。
「動けた理由か・・・。三人とも、今から話す事信じてもらえるかな?」
ヤノは少し心配そうに聞いた。
「おう。」
Mr.キャットがそう返事すると、ヤノは少しずつ話し始めた。
「まずMr.キャット、自分自身の能力は知ってるか?」
「『カウントクロック』だろ?」

カウントクロック
カウントと呼ばれるポイントを溜めて、そのポイントを一気に放出して自分の動きの倍率を操作したり、相手を止めたり、周囲の時間を止めたりできる能力。能力の中でも強力な部類に入っている。

「そうだ。だが実はカウントクロックには一つ弱点がある。『時空の行動者』には効かないことだ。」
「時空の行動者ってそもそもなんだ?」
Mr.キャットが質問すると、
「時空の行動者は、『過去や未来に行ったことがある人がなる特質』だ。」
「えっ、ということは・・・。」
「俺は過去や未来に行った事があるということだ。」
「えーーー!?」
メタナセが凄く驚いた表情でヤノを見た。
「おい、なら何を見たかを言え。」
Mr.キャットはヤノにそう聞いた。
「それは言わないでおこう・・・。」
ヤノは少し悲しそうな顔でそう言った。なぜなら、
(俺が見たのは仲間が全滅し、異世界が崩壊する残酷な結末だからだ。そして、『この三人の中に裏切り者がいる』からだ。」
「えっ、ここまで話しておいてそれはないだろ。」
「ここから話すのはいけないだけだ。」
ヤノはそう言うと、Mr.キャットに近付き耳元で言った。
「お前の仲間のうち一人は生きている。」
そう言うとヤノは事務所を出た。するとメタナセは 、
「ねえ、さっき谷野に何言われたの?」
「教えねぇよ。」
(何であいつが知ってたんだ?もしかしてあいつ・・・。)
アカネはこう言った。
「二人とも谷野についてだけど・・・。」

一方ヤノは、
(よし、行くか。)
休憩する感じにして、実はある場所に向かっていた。そこは・・・。
「待ってろよ進時。」
メタナセ達がいた町に向かっていた。そう、進時の所へ戦いにいくのだ。
そして山の山頂まで来た。
(やっぱりひでぇな。・・・うっ。)
ヤノはクラっとした。すると、
(おい!聞こえるか!)
〈・・・え!?心の中で何か聞こえる!?〉
どういうことか言うと、元のヤノと1の谷野は今心の中で会話しているということだ。
(おーい、聞こえるか1ー。)
〈1じゃなくて谷野だ!〉
(・・・俺も谷野だから言ってるのだけど。)
〈えっ、どういうこと!?〉
ヤノは谷野に事の一部始終を教えた。
〈んー、という事は俺は新しく生成された人格って事?〉
(まあ、そうなるな。)
〈とりあえずわかった。〉
(・・・てっきり悲しむと思ったんだが。)
〈おーい、聞こえてるぞー。あと、悲しむどころか嬉しいよ。だって、二人でいる方が行動しやすいからね。〉
(そうだな。でも、一人の時間なくなるな・・・。)
〈だから、聞こえてるぞー。〉
(ですよね。)
ヤノは笑った。因みにこの心での会話は勿論他の人には聞こえてない。なので、周りから見るとヤバい奴だ。
ヤノは走って山を下っていた。
〈足はや!?〉
(んー、パラメーター違うからな。)
〈どういうこと?〉
(パラメーター見てみて。)
〈うん。〉
ヤノのパラメーター
HP1000、SP1000、攻撃力2000、防御力1500、素早さ 3000、その他略だ。気づいた読者もいると思うが、実は進時より弱いのだ。しかし進時に勝るものがある。それはレベルと素早さだ。まず、進時のレベルが1なのに対してヤノのレベルは257だ。そして素早さなのだが、進時のパラメーター紹介の際書いて無かったが、進時の素早さは2000だ。しかし、ヤノは3000と上回っているのだ。素早さが相手より速いと回避しやすいというメリットがある。
(俺も前は谷野のようにパラメーターが超低かったからな。)
〈そうなの!?〉
(そうだ。・・・おっ、町に着いたな。)
〈でっ、どうすればいいんだ?〉
(んー、あれ試すか!)
〈あれ?〉
(あれってのはな・・・。)

続く

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