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アレ?話が噛み合わない!?

何がなんだよ??

目の前にいるこのチンチクリンが魔人族!?
どうみても角以外はどう見ても小さい子供だよな?

「貴女が魔人族って本当なのですか?」
「俄かには信じられないわよ」

「はむ、はむ!本当でありますよ魔人族でありますよ」

敵にしてはプリンを何個食べてんだ…毒あるとか思わないのか。

「よし!倒そう!」

「同感である!」

カイエンとルーガルは宝救剣を引き抜く。

「ぎゃーであります!」

「2人共ちょっと待て!」

何いきなり斬りつけようとしてんだ!

「相手は子供よ!話くらい聞きなさい!」
「そうだそうだ!」

アリシアの後ろで隠れているベルゼブブがそう言ってる。

「つかベルゼブブってハエじゃなかったか?」
「ハエ…」
「お前ハエかよ!」
「やはりチビではないかあははは!」

カイエンとルーガルは大笑い。

ブチっ!

「誰がチビバエかーーでありまーす!」

ベルゼブブはロケットランチャーをとうとうぶっ放した。

「ぎゃあぁぁぁぁー!」

ドッカーーーン

秘密基地が大爆発し煙が上がる。

「ティラ?」

何だ今の?寝ていたルビティラが気になり入り口から顔を出す。

「ティラ…??」

何があった?目の前では信道とアリシア姫以外みんな黒こげだった。

「ぶは」

ベルゼブブは口から煙を吐いた。

「こいつ…やっぱ倒そう…」
「そうですな…」
「僕も同感だ…」

三人は宝救剣を構える。

「ヒィーであります!」
「お前達ちょっと待てって!」
「「どけ涼!」」
「どいてくだされ涼殿!こやつは危険ですぞ!」
「いやお前らが馬鹿にしたから怒ったんだろ!」

え?怒らないでありますか?

「そうですよ!2人が向きになるから!」
「女の子を虐めるからです!」
「いや先にだな…」
「ですが…」

「「お黙りなさいっ!」」

えっ!?リア?お姫さん…??

「女の子を揶揄う人も!」
「女の子を虐める人も!」

「「同情しない人も!」」

「僕は関係ないだろ!」

「「最低です!反省しなさいっ!」」

「「「は、はい…」」」

三人は二つ返事した…つかこえーなオイ…

「もう大丈夫ですよ!ベルちゃん!」
「ベルちゃん?」
「貴女の事よ可愛いでしょ!」
「は、はいであります!」

ベルはリアとアリシア姫の手を握り喜ぶ。

「あはは!お前らも女の子には形無しだな!」
「五月蝿いよのぶ!」
「うっせえよ!のぶ!」
「五月蝿いですぞのぶ殿!」

やれやれ…男ってのは…

「で、改めて聞くが何で倒れていたんだ?」
「よくぞ聞いてくれたであります!」

ベルは語り始めた。

「実は…」

「実は?」

「実は!」

「うんうん!」


「チビって言われたからキレてミサイルぶっ放して研究所を壊したから追い出されたんであります!てへ☆」

え……空気が固まった…

「お前…どんだけ小さいんだよ…」

気持ちが…

「「「「「「同感…」」」」」」

皆同情の余地なしであった。

「チビじゃなーいでありまーす!」

ベルがまたロケットランチャーを出す。

がぶっちょ!

「うぎゃあーでありますーす!」

ルビティラがお尻に噛みつき外に引っ張っていった。

「痛い痛い痛い痛い!さっきより痛いであります!」

そりゃデカイ恐竜が噛み付けばな…手加減しろよルビティラ。

ぺっ!と外へ放り出すルビティラ。

「いた!何するでありますか!」
「ティラ!」

危なくて置いとけるか!どっか行け!
そりゃ言うわな…

「帰れって言ってる」

「無理であります!」

ベルは泣きながら秘密基地へ走る。

「ウガァァァ!」

入んじゃねー!と雄叫びを上げるルビティラ。

「こ、怖くないであります!」

足ガタガタだぞ。

「ティラ!ティラ!」

あ、馬鹿にしてるぞコイツ。

「行くとこないんであります!入れてであります!」

「ティラ〜!」

絶対入れなーいよーだ!お前は子供か…

「ムキーちょっと大きいからって偉そうに!」

「ウガァァァ!」

デカイわ!

「ひいっ!」

ルビティラは本来の巨大な姿に戻りベルを脅かした。

「こらルビティラ!迷惑だ元に戻れ!」
「ティラ…」

ちぇ…ちぇじゃねーよ!ムキになって脅かすな。
ルビティラは小さくなる。

「大丈夫か?」

俺はしゃがんで手を差し伸べる。

「て、敵の施しは受けないであります」

じゃあ手を取るなって笑

「もうミサイル撃たないなら泊めてやるよ」

俺はベルの頭をくしゃくしゃと撫でる。

「子供扱いはやめるであります!」
「お前いくつだよ?」
「か、数えて10であります…」
「お前まだ9歳かよ!子供じゃないかよ完全に!」

何だ年相応の子供だったのか。

「子供なら素直に好意は受け取れいいな!」
「ぶ〜そこまで言うなら泊まってやるであります…」

風船みたいに膨らんで言ってもなやっぱ子供だわ笑える。

「てわけだルビティラ!脅かすんじゃないぞ」
「ティラ!」

ほんの冗談だ!

「冗談だとよ」
「怖かったでありますよ!もう!」
「ティラ!」

悪かったよ!とルビティラはベルに擦り寄り顔を舐める。

「舌も宝石でありますか!でも唾液でてるであります汚いであります…」
「ティラ!」

へいへいってコイツは笑
とりあえず皆を説得してベルを今夜だけ停める事にした。


次の朝。
俺達は朝ごはんを食べながらベルに色々と聞く事にした。

「はぐ!はぐ!おかわりであります!」
「はいよ!嬢ちゃんいい食べっぷりだな!」

信道はそう言ってご飯をどんぶり一杯にして渡す。

「はぐ!はぐ!美味いでありますのぶさん!」
「ありがとうよ!沢山食いな!」
「良く食べるなこの魔人族…」
「負けてられない!おかわり!」
「我輩もおかわり!」

お前らも良く食べる事で。カイエン頼むから頭をつけて食べてくれ…慣れたとはいえな。

「姫さん、魔人族ってあんなだったのか?」

「私も詳しくはわからないわ…」

俺達の知ってる魔人族は特撮の怪人みたいな奴と雑魚兵ばかりだそもそも魔人族その物を俺達は知らない。

「なあ、君は魔人族なんだよな?」
「んぐ、そうであぎます!」
「飲み込んでから喋ってくれ…」

「ごっくん!そうであります私は魔人族であります!」

「にしては人間族と大差ない姿してるが?」

「私は魔界の一般市民であります!だいたいみんなこんな感じであります」

一般市民?魔人族に?

「一般市民って?そもそも魔界ってなんだよ?」
「魔人族の世界であります!」
「魔人族の世界?」
「はいそうであります!」
「魔人族はそこから侵略してくるのですか?」

アリシア姫が尋ねる。

「侵略?何のことでありますか?」
「え?」
「何の事って?魔人族がこの世界を侵略しようとしてんだろ?」
「それはそっちであります!」

はい?

「お前らが宝石獣を馬鹿勇者共と滅ぼしたから今に至るんだぞ!」
「そっちこそ!眷属を何人も殺したじゃないでありますか!」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「何か話が噛み合ってなくない?」
「姫様どうなってんだ?」
「私が知る訳ないでしょ!信道のお祖父様が何か言ってたんじゃないの?」

おいおい全く話が噛み合ってないぞ!?

「祖父さんも詳しく教える前に死んだからな〜」
「教える前に死んだって、じゃあのぶさんのあの包丁は?」
「ああ、宝救丁は俺が作った」
「作った!?勇者の武器を自分で作ったというのかいのぶ!」
「性格には祖父さんの形見だった折れた勇者の剣を加工してゴルーケンとイカ子ちゃんの情報だけを頼りに作ったんだ!」

まじかよ、お祖父さんの形見を自分の返信アイテムに作り変えるなんて。のぶさんってやっぱ天才なんだな。

「信道は錬金術の天才なのよ!全部自分で作ったんだから!」

「凄いであります!ご飯だけでなく発明家でもあるんでありますか!」

キラキラと目を光らせるベル。

「いやあ、照れちゃうな」
「話を戻すぞ!結局魔人族は一体なんの用でこの世界にあらわれたんだ?」

カイエンが話を戻す。

「そこまでは知らないでありますよ!私はあくまでも科学者であります!」

子供じゃ判らないかやっぱ。

「ただ、滅んだ仲間を蘇らせる為に何か探してるって聞いた事はあるであります」
「探しもの?」
「はい、何故か出入りしてた人間の女がそう言っていたであります」
「人間の女って…泥棒女だ!」

「アイカ様ですわ!」

あの泥棒女か…余計な入れ知恵したのは!

「ちょっと待て!宝石獣達が大半滅んだのは100年前だ!魔人族も同じくらい倒されているなら何故今そんな物を探している?」

確かに本当にそんな物が存在したなら今わざわざ探すか?つかそんな情報が100年前からあったか?まだあの女は産まれてない。

「100年かけても見つからなかったからでは?」
「じゃあどうして魔人族と馬鹿勇者達は宝石獣を滅ぼしたんだ!」
「まるで、その何かの代わりにって感じに見えるな…」

奴らの探してる物の代わりに使う為…確かにそれなら宝石獣達が狩られたのにも辻褄があうかもな。

「アレキサンドライト!」
「え?」
「魔人族はやっぱりアレキサンドライトを欲しがっているんだわ!」
「姫さんの中のあの宝石か?」

アレキサンドライト、宝石の王とも言われている高密度で高純度の宝石である。俺の世界でも天然物なんか滅多に見つからない。

「確かにあの女もそんな名前を口走ってような割と最近」
「残念ながらアレキサンドライトは具現化は出来ません、死んでも取り出せません!」

アレキサンドライトは初代勇者のパートナーだった宝石神とかいう宝石獣だよな…確か。

「アーアーアーアー!」

な、なんだ!?
ゴルーケンが口やかましく鳴きはじめた。

「何だどうした?」
「魔人族だ!ゴルーケンは魔人族を感知できるんだ!」

マジかよ。

「くーくーくー!」

ちょっと行った先の村に現れました!

「サンキューイカちゃん!みんな行くぞ!」

俺達は魔人族の出没した村へ急いだ。


しおり