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チビじゃなーい!悪魔の科学者


ガネットを出発した俺たちは今…

「へいらっしゃい!」
「いらっしゃいませ…」
「もっと声出せ虎坊!」
「はい!」

立ち寄った村で飲み屋の屋台をやっている。

出発した俺たちは日も暮れた為近くの村にやって来たが、のぶさんが暖簾を出して屋台を始めた。何故俺たちまで居酒屋やらなきゃならん。

つか飲み屋しながら旅ってなんだよ。

「おいにいちゃん焼き鳥まだか?」
「はい!只今!」
「ビールおかわり!」
「は、はーい!」

店は大繁盛、ルビティラ達はのぶさんが作ったランタンジュエルによって体が光っていて提灯の代わりにされている。
外に出したテーブルやカウンターに俺たちは屋台の料理を急いでもっていく。

「冷奴、焼き鳥、串カツ上がり!3番様だ!」
「はーい!」

リアが持っていった。居酒屋の店員服姿だ、中々似合っている。俺たちも着ている甚兵衛みたいな格好だが風通しのいい制服だ。

「大将熱燗!」
「あいよ!カイエン熱燗だ!」
「了解!」

カイエンは馬車の中の秘密基地の厨房で熱燗を作っている。デュラハンがでたら怖がられるからだ。

「ルーガル持ってけ!」
「わかりましたぞ!

ルーガルは冷蔵庫に入り外の飲み屋台の冷蔵庫からでてカウンターの客に熱燗を持っていった。

「熱燗でございます」
「おお〜蜥蜴が運ぶなんて面白い屋台だな〜」

酔っ払いにからかわれるルーガル。

「な、我輩は蜥蜴じゃっあぐ!」

ルーガルの口に熱々のがんもどきを放り込む信道。
「あっつあっく!」

ルーガルは口の中が熱すぎてたまらず水を求めて調理場へ駆け込んだ。

「ごっきゅごっきゅ」

ルーガルは水をほうばりがぶ飲み。

「お前上で何やらかした?」

まあ、大体想像つくが…厨房で魚を焼いているカイエン。

「たくルーガルはしょうがない奴だ」

コハクも猫呼ばわりされたら怒るじゃない。

「嬢ちゃんビールおかわり!」
「あ、はい!のぶさんビール1本お願いします」
「上がってるよ!リアちゃん持って行ってくれ!」

信道は先読みしたのか用意してリアにジョッキを渡した。
何だかんだでようやく居酒屋が終わった。

「つ、疲れた…」
「商売とは大変ですな…」
「これ、毎晩やるのかい…」

涼、コハク、カイエンはカウンターの上でへばっている。

「お前ら情けないぞ初日からバテてちゃよ」

信道は頑張ったみんなの為に飲み物を用意している。

「情けないですね男の子が」
「リアは昔から体力あっただろ…」

成る程あのパワーもそのスタミナが成せる技なのか…どうりであんな重い武器を軽々使ってたわけだ。
パキケファログローブは巨大なダイヤがついてる為かなり重いのだ。

「ティラ?」

何だありゃ?ルビティラは何処かへ行く。

そして、ようやく飲み屋台1日目が終わり、信道が皆に飲み物を出してくれた。

「さあ、飲み物が出来たぞ!飲んだら飯にしよう」
「お!待ってましたぞ!」
「サンキュウな、のぶ!」
「お腹すいた…」
「コハクったら」

みんなは片付けを終えると馬車の秘密基地に入っていく。

「涼様ご飯ですよ!」
「ああ、ルビティラ飯だぞ!」

あれ?ルビティラは?

「ルビティラ!飯だぞー!」
「ング!」

ルビティラが何か咥えて戻って来た。

「ん?お前何咥えてんだ?」
「ぺっ、ティラ!」

何かあっちに居た!居たってお前…
ルビティラが咥えて来たのはフードを被った羊みたいな角を生やした小さな少女だった。

「お、女の子??」

俺は秘密基地に女の子を抱きかかえて入った。

「涼、誰だよそいつ?」
「判らない、ルビティラが連れてきた」
「ルビティラちゃんが?」
「とりあえずソファーで寝かせるんだ!」

俺は角を生やした少女をソファーに寝かせた。

「何でこんな時間に女の子が?」
「この子角生やしてますよ。リア様!」
「そうなんだよ、亜人か?」
「いや、亜人なら体に元になった動物の一部や尻尾があるはずだ」

亜人族は動物の耳や尻尾といった特徴だけではなく体ににもその動物の特徴が現れるらしい。コハクは縞々な髪に尻尾、リアもリスの耳に長い縞栗鼠の尻尾って具合だ。
だが、この少女にはそれが無いらしい。

「ハーピィ族?」
「いや、ハーピィ族は手が翼だ、それとも昆虫亜人か?」
「昆虫亜人は体も虫ですぞ!」
流石蜥蜴虫はわかるな。
「または亜人の人間の混血か?」
「いや混血でも亜人族とかなり変わらないぞ」
「ヤギとか?」
「だから尻尾がないだろ!話聞いてたのか涼」
「ヤギみたいな角してるからさ」
「しっ!起きます!」
「ん…んん…」

あ、気がついた。

「だ、大丈夫かい?お嬢ちゃん?」

「ん…」

小さな少女は見渡している。

「おーい晩飯上がったって誰だそのこ?」

厨房から顔を出した信道が聞いた。

「くんくん…」

厨房から漂う信道の料理の匂い。それを嗅ぐ少女。

「め…」

「め?」

「飯ーーーーーーーー!であります!」

少女が声を上げ飛び上がり厨房へダッシュ。

「いただきまーす!がるるるるるるる!」

少女は眼の色を変えて料理をものすごい勢いで食べまくる。

「ええーーーーーー!?」

何だこいつは??

て、俺達の晩飯がっ!!
がるるるるるるる!
少女は全部私のじゃあと言わんばかりに威嚇しひたすら食べまくる。

あーあー…全部食べちゃったよ…

「げっぷ!はぁ〜生き返ったであります」

「な…我輩達の晩御飯…」
「この豆ジャリが!俺達の飯をよくも!」

ピク!少女の耳が動く。

「カイエン相手は小さな子供だぞ!」

ピクピク

「だけどよ!この豆ジャリが!」

「誰が…」

「え?」

「誰が豆ジャリかーーーーーーでありますーーーーー!」

少女はフードを脱ぎ捨てると白衣姿になり白衣から大量の機関銃を出しぶっ放した。

て、オイちょとまてや!?

「私は豆ジャリじゃないでありまーす!」

ドカン、バカン、ドカン!

少女はひたすら銃を乱射しまくる。

「うわ!何だ何だ!?」
「あっぶな!」
「うわーやめてー!」
「蜂の巣は嫌ですぞー!」
「こんな所で撃つんじゃねーー!」

「五月蝿いでありまーす!」

少女はロケットランチャーまで取り出した。
馬鹿止めろって!!

「うひゃひゃひゃひゃっであります!」

がぶっちょ!

ワニ爺が少女のお尻に噛み付いた。

「うぎゃあぁーーでありまーす!」

ワニ爺に噛まれて走り回る少女。

「痛い痛い痛い!誰かとってくだーい!!」

少女は泣きわめきながら助けを求めてる。
やり方はともかくワニ爺よく止めた。

「ワニ爺離してやれ!」

「ワニ!」

たく、五月蝿くて眠れんわい!だから噛んだのか。

「ワニ…」

しかも、噛み心地わるいの…おいおい…

「痛かってあります…うわ!」

カイエンが少女の襟を掴み持ち上げた。

「この豆ジャリ!危うく蜂の巣だ!」
「誰が豆ってうわ!お化けでありまーす!」

頭の無いカイエンの体にビビる少女。

「失礼だなお前…」
「ぎゃー生首でありまーす!」

もっと泣いちゃったよ…

「大丈夫ですよ!怖い事ありませんから」
「いや、首ない時点で怖いからな…」

少女はようやく落ち着き座り込む。

「かってにご飯を食べたのは謝るであります…ごめんなさい…」
「まあ、子供のした事だしな」
「そうですね…」
「子供は無邪気ですからね!」

お姫様も子供だろ…12歳。

「で、お前どっから来たんだ?」
「ゾンビなんかに教えないであります!あっかんべー!だ」
「このジャリっ!」
「まあまあ、カイエン殿!抑えて!」
「蜥蜴までいるんでありますか?」
「我輩は蜥蜴じゃなーい!」

お前まで怒るなよ!

「止めないかお前ら!」

信道が何か持ってきた。

「お嬢ちゃん。とりあえずお菓子でも食べながら話してよ!」
あ、プリンだ!ってこの世界にプリンなんてあったか?
「フン、私が…こんな物で…話すわけないであります!」
「食べてるじゃないか!天邪鬼もいい加減にして話たまえ!」

コハクがツッコミ。

「しょうがないでありますね!で、貴方達どちら様?」

そこからかよっ!

「俺達は戦隊だ!」
「戦隊??」
「判らないだろ涼…僕達は勇者だ」

「勇者って…ええ!貴様らが噂のホウキュウジャーでありますか!?」

何だよいきなり貴様って…このガキ…

「噂って私達を知ってるんですか?」
「ウチの軍がことごとくやられてる悪の組織であります!」

悪の組織だぁ!?俺達が!?まだ指名手配になってんのか俺達??

「貴女は誰なの?」
「ふふふ!よくぞ聞いてくれたであります!」

少女はプリン片手に立ち上がる。

「私はファーリーヌ・アン・ベルゼブブ!魔界屈指の天才科学者であります!」
「お前馬鹿?」
「失礼でありますね!ゾンビ!」
「ゾンビじゃねーよ!」
「魔界ってお前何かの亜人か?」

「え?私、魔人族でありますよ!」

え……

「「「「「「ま、魔人族!?」」」」」」

「魔人族だって!?」

俺達の知ってる魔人族と全然違う!?

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