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紋章の男は怒り狂った形相をすると、
右手を女性に振りかざした。
すると、驚くことに霊体である女性を
吹き飛ばした。
女性は何が起こったのかわからなかっ
たが、苦悶の表情をすると走って逃げ
ようとした。
だが、男はこの女性の霊をみすみす逃
がすきなどなかった。
紋章の男はすぐに腰に指してある瓶を
取ると怪しげな呪文を唱えた。
すると、黒いか溜まりが瓶から吹き出
して逃げようとする女性の霊体を包み
込んだ。
女性の霊体は恐怖のあまり悲鳴をあげ
る。
(いゃあ、なに。なんなのこれ、助け
て、誰か助けて・・・・・神様)
だが、この声は神にはとどかず、誰も
彼女を助けるものはいなかった。
紋章の男は瓶に蓋をすると、また、呪
文を唱える。
そして、女性は完全に瓶の中に封印さ
れてしまった。
紋章の男が瓶を見ると、女性は泣き叫
びながら許しを得ようとした。
紋章の男は瓶を見ると満足げな顔をし
て、また、森の方角を歩き始めた。