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人魔戦争の伝説

歓楽街を聖女のカッコをしたアンと楽しく夜のお散歩をする。



「あの店とかどうかな?」

アンは手を延ばして看板を指し示す。そこにはオサレなレストランがあった。

結構な高級店だな。うん、落ち着いて話せる個室もあるだろうし、いいんじゃないかな?

「よし、決まりだ」



店に入ると値が張るからだろう、案の定個室が空いていた。



「よし、ちょっと聞かれるとまずい話もするから、これなら大丈夫かな」

「なになに。秘密の話?」

と興味シンシンのアン。



「アンちゃんには聖女になってもらうんだけど、古代にあったとされる人魔戦争の伝承について軽く説明しておこうと思うんだ。聖女なのに知識がないのはまずいからね」

「はーい、おとぎ話と思って良い?」

「手短に言うと、魔界から魔王が召喚される魔法陣が魔王城を封印されるまでの戦いを伝えた物語なんだ、女神から魔法陣の破壊方法について教わったことにしてくれる?」

素直に頷くアン。



「わかった、で、どんな方法で破壊できるの」

「触るだけで良いらしいよ。2つの異界のものが、この世界で触れ合うとなんらかの反応が起きるらしい。聖女と勇者は日本という異界からやってくる、そして魔王は魔界からやってくる。この2つの異界は相入れない性質があってね。2つの世界のモノは触れることで消滅するんだ。そして日本という異界のほうが力を持っている。つまり」

「聖女が触れた魔物は全部消滅する?ってこと?」

「少なくとも僕はそう聞いているよ」

なかなか飲み込みがいいなぁ、と感心する僕。



「へー。アクちゃん、ううん、アクト君って本当に賢者になったんだね?びっくりだ」で、不安がるアン。

「でもさ、私本物じゃないじゃん?魔物と戦ったら死んじゃうよ?」

と泣きそうになる。



「大丈夫、伝承でも聖女はこの話が信じられずに魔物から逃げ回る。同じように振舞ってあとは勇者に任せれば良い」

困ったな、計画では世界一のビッチなんてどうなっても良いと思ってたけど、アンちゃんじゃなぁ。そっか、そういや僕振られてアンちゃんのこと心の中で最低のビッチだと思って……。それで忘れようとしたんだっけ。水晶玉は図らずしも僕の深層心理を映し出してしまったわけだ。



ちょっと待てよ、じゃぁ、クソ野郎って。あ、あいつか。親友だったブレイか。

「アンちゃん、今もブレイとは付き合っているの?」と聞く

「ううん、卒業してから数年は一緒だったけど、別れたよ?あいつ浮気したんだっ」

卒業して僕が振られたあとアンと付き合ったのは親友のブレイだった。

僕はあいつをクソ野郎呼ばわりして疎遠になっていったっけ。



ああ、僕は世界一の最低賢者だな……。できれば、三人でまた笑って過ごせる日がくればいいのに。ブレイは今の僕を許してくれるだろうか。



「今、ブレイは何を?」

「え、知らないの?アイツ有名人になったんだよ。百錬の勇者ブレイって名前で剣闘士としていつも戦っているじゃん?」

口を尖らせるアン。

「私みたいなアバズレより、言い寄ってくる貴族のお姫様のほうがいいんだって」

カーッと血が上る。僕はブレイへの怒りがまた再沸騰するのを感じた。



「あのクソ野郎が!」

「本当にクソ野郎だよ」

と僕たちは口々にいう。

「よし、アイツにお灸を据えてやる」

悪徳賢者の恐ろしさを味わうがいいさ。

「でも、どうやって?」



「アイツを勇者に祭りあげて引き下がれないようにしてやるんだ」

僕は笑う。

「伝承のことは秘密で」



「でも、それはやり過ぎじゃない?」

「何?本当のことを途中で教えれば、逃げ出すさ。それでヤツは名声を失う、だから」

「……貴族のお姫様から見放される!わかった。協力するよアクト君」

僕たちはいかにしてブレイをハメるかをそのあと相談しあった。



後からわかるが実はブレイは嫌なヤツじゃなかった。

僕たち三人はすれ違ってただけで、仲の良い三人に戻ることになる。



ともあれ、夜通し、冗談混じりにブレイの話をするのは悪くなく、時々しんみりし、アンと僕の距離はまた、昔通りに戻っていた。

歓楽街を聖女のカッコをしたアンと楽しく夜のお散歩をする。



「あの店とかどうかな?」

アンは手を延ばして看板を指し示す。そこにはオサレなレストランがあった。

結構な高級店だな。うん、落ち着いて話せる個室もあるだろうし、いいんじゃないかな?

「よし、決まりだ」



店に入ると値が張るからだろう、案の定個室が空いていた。



「よし、ちょっと聞かれるとまずい話もするから、これなら大丈夫かな」

「なになに。秘密の話?」

と興味シンシンのアン。



「アンちゃんには聖女になってもらうんだけど、古代にあったとされる人魔戦争の伝承について軽く説明しておこうと思うんだ。聖女なのに知識がないのはまずいからね」

「はーい、おとぎ話と思って良い?」

「手短に言うと、魔界から魔王が召喚される魔法陣が魔王城を封印されるまでの戦いを伝えた物語なんだ、女神から魔法陣の破壊方法について教わったことにしてくれる?」

素直に頷くアン。



「わかった、で、どんな方法で破壊できるの」

「触るだけで良いらしいよ。2つの異界のものが、この世界で触れ合うとなんらかの反応が起きるらしい。聖女と勇者は日本という異界からやってくる、そして魔王は魔界からやってくる。この2つの異界は相入れない性質があってね。2つの世界のモノは触れることで消滅するんだ。そして日本という異界のほうが力を持っている。つまり」

「聖女が触れた魔物は全部消滅する?ってこと?」

「少なくとも僕はそう聞いているよ」

なかなか飲み込みがいいなぁ、と感心する僕。



「へー。アクちゃん、ううん、アクト君って本当に賢者になったんだね?びっくりだ」で、不安がるアン。

「でもさ、私本物じゃないじゃん?魔物と戦ったら死んじゃうよ?」

と泣きそうになる。



「大丈夫、伝承でも聖女はこの話が信じられずに魔物から逃げ回る。同じように振舞ってあとは勇者に任せれば良い」

困ったな、計画では世界一のビッチなんてどうなっても良いと思ってたけど、アンちゃんじゃなぁ。そっか、そういや僕振られてアンちゃんのこと心の中で最低のビッチだと思って……。それで忘れようとしたんだっけ。水晶玉は図らずしも僕の深層心理を映し出してしまったわけだ。



ちょっと待てよ、じゃぁ、クソ野郎って。あ、あいつか。親友だったブレイか。

「アンちゃん、今もブレイとは付き合っているの?」と聞く

「ううん、卒業してから数年は一緒だったけど、別れたよ?あいつ浮気したんだっ」

卒業して僕が振られたあとアンと付き合ったのは親友のブレイだった。

僕はあいつをクソ野郎呼ばわりして疎遠になっていったっけ。



ああ、僕は世界一の最低賢者だな……。できれば、三人でまた笑って過ごせる日がくればいいのに。ブレイは今の僕を許してくれるだろうか。



「今、ブレイは何を?」

「え、知らないの?アイツ有名人になったんだよ。百錬の勇者ブレイって名前で剣闘士としていつも戦っているじゃん?」

口を尖らせるアン。

「私みたいなアバズレより、言い寄ってくる貴族のお姫様のほうがいいんだって」

カーッと血が上る。僕はブレイへの怒りがまた再沸騰するのを感じた。



「あのクソ野郎が!」

「本当にクソ野郎だよ」

と僕たちは口々にいう。

「よし、アイツにお灸を据えてやる」

悪徳賢者の恐ろしさを味わうがいいさ。

「でも、どうやって?」



「アイツを勇者に祭りあげて引き下がれないようにしてやるんだ」

僕は笑う。

「伝承のことは秘密で」



「でも、それはやり過ぎじゃない?」

「何?本当のことを途中で教えれば、逃げ出すさ。それでヤツは名声を失う、だから」

「……貴族のお姫様から見放される!わかった。協力するよアクト君」

僕たちはいかにしてブレイをハメるかをそのあと相談しあった。



後からわかるが実はブレイは嫌なヤツじゃなかった。

僕たち三人はすれ違ってただけで、仲の良い三人に戻ることになる。



ともあれ、夜通し、冗談混じりにブレイの話をするのは悪くなく、時々しんみりし、アンと僕の距離はまた、昔通りに戻っていた。

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