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不幸な女

 営業責任者の代理に取引先にパソコンの説明に無理やり連れて行かれた。どうもこの5人は連携しているように見える。この会社は風俗を幅広くしているようで、パソコンを一人で見ていると半裸の若い子が入ってきて無理やり抱きつく。これは隠しカメラに取られると部屋から飛び出した。こういうことは検査にはよくあることだ。どうもこの支店では孤立無援なようだ。
「今日は石田は?」
「10日ほど敦賀に出張だと言っていたわ」
「だからメールが来ない訳だ」
 今日はカウンターに資料を広げてもう一度目を通す。ぽろんの女は昨日の激しかった行為をすっかり忘れたようにふるまう。遂に赤いタオルは出て来なかった。
「何をしているの?」
「不正を調べている」
「嫌な仕事ね」
「ああ、もう今回で辞めようと思っている」
 つい本音が出た。
「あたし親不孝な娘なんの。彼氏の暴走族のヘッドとしばらく東京に駆け落ちしてたの。始めての子供が出来たけど彼に言われて流した。それが5年後足洗う時に事故で死んじゃった。二人とも真面目にやろうとしてたのにね」
 彼女も小瓶をラッパ飲みしている。
「それから5人かな6人かな彼氏が代わったけど顔も覚えていない。最後の彼氏とに子供が出来た。2年前かな。それが生まれてすぐに死んじゃった。やっと母親らしくって思ったのにね。それで彼に離婚された」
 この話はまだ続きそうだったが、新しい3人連れが入ってきて途切れてしまった。


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