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20 金色の瞳①

 ある森の中に光り輝く金色の瞳を持つ一族がいた。
 金色一族。
 彼らの目は、綺麗でいて魔力を増幅させる効果があるため希少価値が高かった。
 これまでも、彼らの瞳を目当てに数多くの盗賊たちが襲いにきた。
 金色一族自身の魔力も高く、そんな彼らを返り討ちにしてきた。
 そして、今日……
 ひとりの金色一族の若者が、旅立とうとしていた。

「いよいよ主は、今日旅たとうとしている。
 その旅でを祝って、この瓶底眼鏡を贈呈しよう」

 村長がそう言って瓶底眼鏡を若者に渡す。
 若者は、そのメガネを受け取ると村長が言葉を続ける。

「さて、金色一族ではおねこ一族の誰かを旅の共に連れて行くしきたりになっておる。
 主は、誰を連れて行く?」

 すると若者は静かに答えた。

「はい。
 僕は、13さんと旅にでたいです」

 すると1匹のおねこ一族のねこが若者のほうを見る。

「僕でいいの?」

 13と呼ばれるねこが若者のほうを見る。

「うん。
 おんなじ僕っ子同士ですし。
 何より幼なじみですからね」

 若者がそう言って笑うと13は、小さく頷く。

「そっか。
 じゃ、よろしく」

 それを聞いた若者も小さくうなずいた。

「こちらこそです」

 若者がニッコリと笑う。

「そうだね。
 じゃ、どこに行く?」

 13は、そう言って宙を歩く。

「そうですね
 廃墟図書館に興味があるんですが……」

「廃墟図書館?
 本でも読むの?」

 13が、そう尋ねると若者が頷く。

「はい
 ちょっと読みたい本がありまして、あと武器になる本があるらしいんです」

 若者がそう答えると13が笑う。

「君は根っからの武器マニアだね」

 すると若者はこう返した。

「13さんには、負けますよ」

 若者と13が、小さく笑いあった。

 ――廃墟図書館

 若者と13は、図書館にて本を探す。

「わぁー
 色んな本がありますねぇー」

 若者が、嬉しそうに声を上げる。

「君ってホント、本の虫だね」

 13が、そう言うと若者のほうを見る。
 すると若者が本を食べていた。

「ん?呼びました?」

「いや、呼んでないよ。
 僕は、本を読んでいるよ」

 13は、ちらっと若者のほうを見る。
 若者は、本を無心で食べている。

「……ねぇ、本って美味しい?」

 13は、ほんの出来心で尋ねた。
 すると若者が答える。

「はい、この本は、パリパリしてて塩加減が絶妙で美味しいですよ」

「塩……?」

「あ、はい。
 この本を全部食べると魔法が覚えれるんですよ。
 古い図書館なのであると思っていたのですがあってよかったです」

 若者が小さく笑う。

「魔法を覚えれる本?」

「はい」

 若者は、そう言って最後の1ページを食べ終えた。

「……そか」

 すると本のページがすぐに再生した。

「うわ!13さん。
 この本、再生紙ですよ!」

「そか……でも、それはちょっと意味が違う気がする」

 13は、そう言って苦笑いを浮かべた。

 若者は、2冊めの本に手を当てた。

「え?まだ食べるの?
 お腹いっぱいにならない?」

 13が、そう尋ねると若者が答える。

「この本、いくら食べてもお腹が膨れないですよ」

 若者は、そう言って本のページをちぎりそれを口に運ぶ。

「……美味しい?」

 13が、そう尋ねると若者は首を横に振る。

「ちょっと味がうすいな。
 この本、レタスの味に近い。
 マヨネーズをかけると美味しいかも」

「本にマヨネーズ?」

 13が、首を傾げる。
 若者は、目の前の空間を歪ませそこからマヨネーズを取る。
 そして、本にマヨネーズをかけるとそれを食べた。

「うん。
 美味しい」

 若者は、嬉しそうに笑って本をむさぼる。

「その本は、食べたらどんなメリットあるの?」

「ここの本は、回復魔法が多いのできっとこの本も回復魔法だと思うよ」

「そっか」

「13さんも、よかったら食べなよ。
 この本再生紙だし、回復魔法を覚えれるし便利だよ」

「んー。
 僕は回復魔法は、いくつか持っているからいいや……」

「そう?
 勿体ない」

 若者は、そう言って笑うとその本を食べ終えた。

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