状況を確認しよう
「とりあえず、中に入った方が良いわね・・・・・・。」
私は恐る恐る中に入った。
出来る限り床が腐っていない所を歩く。
ギシギシという音が私の恐怖心を煽ってくる。
奥には女神像があるけど埃が被っている。
「流石に綺麗にしないといけないわね・・・・・・。」
階段があったので慎重に上がっていく。
2階は住居スペースになっているみたいで幾つかの部屋があった。
多分、修道女が使っていた部屋だろう。
比較的大丈夫そうな部屋に荷物を置く。
「ベッドは使えるみたいね・・・・・・。」
窓を開けて換気をする。
一気に埃が舞う。
「ゲホゲホ・・・・・・、何年使っていないのかしら?」
とりあえず、修道院の中を探索する事にしよう。
各部屋の中を見ながら廊下を歩くと比較的大きな部屋があった。
「もしかして、院長の部屋かしら?」
部屋には本棚や大きな机が置いてある。
机の引き出しを開けてみると何やら本が出てきた。
「何かしら、この本?」
本を開けてみるとどうやら日記みたいだ。
『今日は何人参拝に来た』とか『近所の村からお裾分けをもらった』とか。
そして、この修道院が廃れた理由がわかった。
国からの支援金が打ち切られたらしいのだ。
こういう修道院や孤児院みたいな施設には色々条件がつくけど支援金が支給されるのだが理由はわからないけど打ち切られたらしいのだ。
そこにどんな思惑があるかはわからないけど、国からの支援が無くなりだんだんと人がよりつかなり閉鎖に追い込まれたみたいだ。
日記の最後には院長の無念さが明らかにわかる。
『何らかの意志に負けこの修道院を閉鎖しなければいけないのが悔しい。引き継ぐ人が現れる事を期待している。』
そう書かれていて私は何とも言えない気持ちになってしまった。
この院長の気持ちが今の私には痛いほどわかるからだ。
志半ばで諦めなければならないのは悔しかっただろう。
私だって幼い時に王太子の婚約者となり厳しい王妃教育を受けた。
その結果がこれだ。
なんだか泣きたい気分だ。
私は密かに決意した。
この修道院をかつての姿に甦らせる事。
もうひとつは私を追い出した奴等に一泡喰わせてやろう、という事。
私はもう貴族ではないけど長年の王妃教育で養った知識がある。
その知識を生かしてこの修道院を再建して見せる!
そう決意した。