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第19話 開拓13日目 土台の組付け、資材買い出し①

◇  ◇  ◇

[ 開拓13日目 ]

 今日も引き続き、土台の施工を行う。

 これまで作業し準備してきた角材は『大引(おおびき)』と呼ばれる建物の全体の重量を支える土台の木材である。

 在来工法では『大引』の上に『根太(ネダ)』と呼ばれる床の重量を支える木材を置いてその上に床を貼るが、今回は根太を使わず直接大引に床合板を貼る『根太(ネダ)レス工法』と呼ばれる方法をとる。

 根太レス工法では、床材に24mm以上の分厚い合板(根太ありの場合12mm)を用いる事で大引が直接床の重量を引き受ける形となるため作業工程を簡略化することが出来るなどのメリットがある。

 一方、根太レス工法のデメリットとしては①床→②壁→③屋根と言う施工順となるため、床を貼ってから屋根が完成するまでの期間が長くなることがある。このため建設期間中に雨が降って床材が濡れてしまわない様に特に注意しなければならない。

 おそらく今回の小屋づくりでも床が完成してから屋根ができるまでの期間中には何度か雨が降る事も予想されるが、その度に建物全体をビニールシートで覆い、床に雨が侵入しない様に対応しなければならないだろう。

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[ 組付け ]
 
 準備した大引を建築エリアまで運び、まず長辺となる4本を基礎の沓石の上に設置する。そしてその上に短辺の3本を置いて1本ずつ調整しながらはめ込んでいく。

 昨日作った接合部分の凹みである『欠き込み』は、お互いやや狭めに作ってあるので、最初からストンと嵌まることはない。これを少しずつノミで削ってぴったり嵌まる様に微調整していくのだ。

 短辺の大引を持ち上げ、転がし、ノミで微調整しては、また転がして、嵌めて具合をみる、という試行錯誤を繰り返す。短辺の大引には1本あたり4箇所の欠き込みがあるので、なるべく持ち上げ転がす回数が少なくなる様に1度のリトライで複数箇所を調整していく。

 この作業はいかにも大工らしく『建物を作っている感』を存分に感じることができる作業ではあるが、幾度ものリトライが必要な作業でもあり、その度に気力や体力をジリジリと消費していく。

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[ ホームセンターで資材購入 ]

 11時頃になると一旦作業を中断し、昼食を摂ってからいつものホームセンターに建築資材を購入しに行くことにした。

 土台の作業はまだまだ時間が掛かりそうだったので今すぐ次の建材が必要なわけではないが、明日明後日は土日であり、ホームセンターに行った際に軽トラが貸出中で借りられないかもしれないと言うリスクを減らすため、今日のうちにホームセンターに行き今後必要になる床材や壁材を買うことにした。

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 軽自動車に乗って山を降りる。

 道中、昨日地元の人から聞いた道路に落ちているという落石はそれらしいものが見当たらなかった。既に誰かが撤去してくれたのだろうか。

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 ホームセンターの軽トラレンタルを利用するのは2回目であり、今回は床材と壁材の一部を買う。

 ホームセンターに到着するとまず木材コーナーを見に行く。床には24mmの構造用合板を使うことにしたのでそれを6枚ほど買う。

 24mm合板は12mmのものと比べて約3倍の値段がしたが、その価格差が納得できるぐらいの重さと硬さがあって頼もしそうだった。その他、壁に使う枠材や面材などの木材を大量にまとめ買いした。

 次に床下や壁内に入れる断熱材を見にいく。断熱材はいくつか種類があるが、今回は『発泡プラスチック系断熱材』を使うことにした。これは発泡スチロール板の様にとても軽く、カッターで切断出来るので加工も簡単、しかも長持ちというとても優れた商品である。

 その他、木材の隙間を埋めるコーキング材や防腐剤、床下に雑草を生やさないための除草剤などを買った。

 レジでの支払いの後、前回と同じくサービスカウンターで軽トラ貸出し申し込みを行い、購入品を軽トラの荷台に乗せてもらってホームセンターを後にした。

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 "あー、やってしまった"と気が付いたのは土地に到着する直前あたりだった。

 大雨が降った後、進入路の状態確認や補修作業を行うことを忘れていたのだ。

 対応を考えなければならない。

<続く>

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