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218 キャンプ?

 一つはスプーンをもう一つはガラスの器をキャッチする手だった。侍女さんお見事です。
 そして、リリアンヌ様は、右側にふらりと倒れた。
 ええ!チョコレートの味に慣れたって、慣れたって言ってたのに!
「はぁ、危ないわ。この破壊力……」
 リリアンヌ様が起き上がった。
 そして、シャーベットをもう一口。
「はぁっ、とろける……口の中で……」
 バタン。
 ええええーーっ!
 2度気絶パターンとか、今までなかったですけど、あれ?大丈夫なの?
 もしかして、知覚過敏とか、えっと、なんか冷たいものやばいみたいな何か?ど、どうしようっ!
「リリアンヌ様、大丈夫でございますか?」
 侍女さんが焦った声をだしてる。
 こ、これ、ま、まずいんじゃ……。そういえば、例の【解毒 浄化】みたいなの、言った?言ってなかったんじゃ……。
 材料は山羊ミルクとチョコレートと砂糖だから、すでに過去にも口にしているからアレルギー的な何かの可能性はないはずだけど。
「リリアンヌ様、リリアンヌ様」
 侍女が必死にリリアンヌ様の名前を呼ぶ。
 えっと、つめたいものを食べて気を失う……?そういえば、小学校のころ、冷たいコーラを一気飲みして気を失うことがあるから気をつけろって先生が言っていた。男子たちにコーラの早飲みがはやったころだ。確か、冷たさで食道が痙攣して胸に痛みを覚えて意識を突然失うとか?だったかな?
 冷たいもので意識を失うことはある……。けれど、シャーベットって、口で溶けてから食道に流れ込むはずだし、そこまで冷たくて量が多いわけでもないような?
「リリアンヌ様、気絶している間に、溶けてしまいますよっ!」
 え?
「リリアンヌ様、溶けます!もう少しだけ溶けてます!」
 あれ?
 まさかの、侍女が必死なのって、そっち?
「気絶している間に、気絶するほどおいしい食べ物がなくなってしまった時のリリアンヌ様はそれはもう……」
 侍女が震えだした。
「あれは20年以上前のことでした……。リリアンヌ様が気絶している間に、坊ちゃまが……坊ちゃまが……」
 ……20年以上も前のことを思い出して震えだした侍女さんに、何があったのかは聞かないでおきました。
 ……坊ちゃまが誰かも。その坊ちゃまが何をしたかも、聞かないことにしました。まぁ、想像はつくけれど。
「はっ、いけないわ。もう、私ったら、まさか、2口目でも気絶するなんて……油断しすぎですわね」
 リリアンヌ様復活。
「それにしても、チョコレートがおいしいことを除いても、これは本当に美味ですわ。氷のように冷たいのに、氷を砕いたものよりも滑らかで柔らかい口当たり……本当に、素晴らしいですわ」
「シャーベットと言うんです。今回はチョコレートのお菓子をテーマにしているので、チョコレートを使いましたが、果物の果汁やヨーグルトや他のものでもいろいろ作れるんですよ」
 リリアンヌ様の目がキラリンと光った。
「えーっと、氷魔法が使える人がいれば……ですが」
「氷魔法ですか……。私は火魔法は使えますが、氷は……。息子や娘たちには……ロッテンマイン、誰かいたかしら?」
「いえ。残念ながら、今現在レベルが10に達しているお嬢様お坊ちゃま方にはいらっしゃいません。使用人ではレベル10に達している者はセバスティアンを筆頭に、武力重視となっているため。攻撃力の高い魔法の習得率は高いのですが、氷魔法は使える者がいるかどうか……」
 使用人も武力重視……。
 あ、レベル10に達している者がってことか。そもそも武力重視な生活しないと普通の生活じゃレベルが10まで上がらないかな?
「すぐに、氷魔法の使い方を教えられる人間にレベル10の者を集めて指導させなさい!氷魔法が使える者には特別ボーナスを支給しますわ!」
「リリアンヌ様、すぐにとおっしゃられましても、まずはパーティーです。さらに氷魔法を使える者は稀少ですから、すぐにというわけにはまいらないかもしれません」
 え?公爵家が稀少っていうくらい、氷魔法が使える人って、稀少なの?
 ……そ、それ、私、氷魔法使えるようになる可能性低いってこと?れ、冷蔵庫……冷蔵庫って、むつかしいの?
「あら、ブライス君が使えるのよね?頼めないかしら?……あら?それよりも、養子にしたほうが早いかしら?氷魔法が使える人間は稀少で価値がありますし……」
 リリアンヌ様が首を傾げた。
 ブライス君公爵家の養子になりたいかな?
「あの、リリアンヌ様、ブライス君は今は冒険者としてランクを上げることが目標だったと思いますし、その、無理に話を進めるようなことがあれば、それを嫌がって近づかなくなる可能性も……えっと、そうすると、氷を作ってもらうことが……」
 私がシャーベットを作ったせいでブライス君に嫌な思いをさせるわけにいかないので、効果があるかは分からないけれど、くぎを刺しておきます。はい。
「そ、そう、そうね。じゃぁ、ブライス君には氷魔法の指導だけ……その、ギルドを通じて冒険者として依頼させていただこうかしら……」
 ほっ。
「そうですわ。リリアンヌ様。使用人に一人くらい氷魔法が使えるようになる人間がいるかもしれませんし。もしいなければ、レベルがもうすぐ10になりそうな使用人はセバスティアンキャンプに参加してもらって」
 え?
 セバスティアンキャンプ?

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たぶん、キャンプファイヤー的なキャンプではない。

(*'ω'*)
あれ?なんか、もうすぐ12月10日じゃないかしら?もうすぐよね?

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