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「は?チョコレート?」
 ローファスさんがふらついて、後ろに2歩下がった。
 おや?
 チョコレートのためのパーティーなのに、このテンションの下げ方はなんでしょう?
「なんだ、あの噂はただの噂だったか!そうか、リリアンヌでかした!」
 シャルム様のテンションは上がった。
「チョコレートの件は私の力不足で……申し訳ないことをした。パーティーの後3日くらいしたら、もう一度陛下にチョコレートの件のお伺いを立てるとしよう。あきらめないその姿勢が、さすが私の愛するリリアンヌだ!」
 というわけで。まだふらふらとしているローファスさんは、そのまま部屋を出ていこうとしてます。
「ローファス、あなたもパーティーに参加する?街中のお嬢様が来るのよ?ついでにお嫁さんでも探しましょうか?」
 リリアンヌ様がローファスさんに声をかけた。
「噂は誤解だと分かったのに、なぜ噂が本当だと思わせるようなことを俺がしなくちゃならないんだ」
 噂?
 結局どんな噂が流れているんだろう?
「ローファスさんパーティーに来ないの?」
 キリカちゃんが寂しそうな顔をする。
「キリカね、パーティーで黄色いドレスを着させてもらうのよ?それからユーリお姉ちゃんはピンクのドレスなの。カーツお兄ちゃんは黒いベストのかっこいいやつで、ブライス兄ちゃんは白い騎士様みたいなかっこいい服着るのよ」
 ローファスさんが振り返った。
「そうか、キリカ、ドレス着るのか。良かったな。じゃぁ、パーティーが終わったら見せてくれるか?」
 パーティーが終わったらか。
 パーティーに出るつもりはないようです。
 あ、そうだ。
「リリアンヌ様、パーティーのチョコレート料理なんですが……、山羊のミルクは使えますか?たくさんはできませんが、反対していた人のご家族様の分を作るだけの量があれば……」
「大丈夫よ。反対していた家族と私たちの分を作るくらいの量なら」
 あれ?私たちと言葉が増えています。
「でしたら、せっかくブライス君もいることですし……」
 夢のシャーベットをつくろう!
 ミルクとチョコレートと砂糖を混ぜて、ブライス君に氷を作ってもらって塩を氷にふりふり。
 金属の器に入れたチョコレートミルクを冷やしながら混ぜて固める。
 アイスクリームは無理だけど、シャーベットならできるはず。
 あ、泡だて器が使えるかも!
 やった!初泡だて器でお菓子作りだ!
 って、ダメか!泡だて器を使って試作品作っても、料理人の人たちは泡だて器持っていないので同じものを作ってもらうなら同じ材料のほうが戸惑わないよね?
「朝食の後、試作してみますね。試食をお願いしてもよろしいですか?」
「仕方ないな。ユーリがそう言うなら」
 出口に向かって歩いていたはずのローファスさんがいつの間にか椅子に腰かけていた。
 あれ?私、今、リリアンヌ様に向かって試食をお願いしていたはずなんですけど?
「試食を頼まれたのは私ですわよ?ローファス、あなたはお仕事があるでしょう?S級冒険者ともなれば、私の主催するパーティーに出席することもできないくらい忙しいようですから」
 ふぐ。
 リリアンヌ様の嫌味がさく裂した。
 気持ちは分かります。……せっかく久しぶりに会った息子ともう少し長く一緒にいたいんですよね。パーティーで息子の自慢もしたいのかな?
 S級冒険者として立派に働いてるんですって。
 ……あれ?立派なんだよね?
 貴族の人にとって、冒険者はさげすむ職業とか、そんなのあったりしないよね?
 もし、そういうのがあったとしたら……それでもなお自慢の息子としてパーティーに出てほしいんだとしたら……。
 リリアンヌさんの思いを、かなえてあげたい……。
 とはいえ、出てくださいなんて言ってもだめでしょうね。
「仕事ならば仕方がないですね。パーティーでローファスさんにも食べてもらえるとよかったんですが残念です……」
 私の言葉に、ローファスさんがちょっとだけ焦った顔をする。
「な、泣くなユーリ!」
 泣いてないって!そこまで残念そうな顔はしてない!
「ちゃんと、その、パーティーの後に、キリカのドレスも見に来るし、ユーリの作ったお菓子も食べるからな!」
「パーティーの一部の人にお出しするお菓子は、すぐに食べられなくなってしまう物なので、後では無理です……取っておけないので……残念ですが、仕方がありません」
 嘘はついていない。
 シャーベットだから。溶けちゃうからね。溶けたらただのココアと変わらない別のものになっちゃうから。
「取っておけない?」
 ローファスさんが首を傾げる。


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うん、ローファスさんなら、取っておけない理由を、
リリアンヌママが俺の分まで食べちゃうんだっ!とか思うとか思わないとか。
……ってのは、流石にひどいのでやめました。

(;'∀')

あの、ところで、気が付いたら12月なんですけど。
あと一週間ほどで、何か大事な日を迎えるような気がするんですが、それがなんだったのか
……うっ、思い出せな……

私の、代わりに……思い出し……て……
ばたっ

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