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195 関係!

「ローファスさん、キリカもぐるぐるしてほしいのよ!」
 ありがとうキリカちゃん。キリカちゃんの言葉で、やっと椅子に戻された。
「おお、キリカもカーツも無事でよかった!」
 と、ローファスさんがキリカちゃんとカーツ君二人をぽーんと天井近くに放り投げた。
 いやいや、ちょっと、さらにリリアンヌ様とシャルム様の表情が……。
「ローファス、久しぶりに家に戻ったと思ったら、挨拶もなしか?」
 シャルム様があきれた声を出す。
「ローファス……元気そうね、顔を見せて?」
 家?
 あれ?
「父上、母上……えーっと、その、ご無沙汰しております……」
 父上?
 母上?
 ま、ま、ま、ま、ま、まって!
「リリアンヌ様、おいくつなんですか!ローファスさんのような大きな子供がいるようにはまるっきり見えませんっ!」
「あら、ユーリちゃん嬉しいことを言ってくれるわね。ありがとう!」
 むぎゅーっと、あ、いや。ちょっと、リリアンヌ様、抱きしめるなら久しぶりに再会した息子とハグしましょう?なんで、私をぎゅむっとしてるんですか?
「そうだわ!シャルム、養子にできなくたって、特別な能力がなくたって、息子の嫁なら文句はありませんわよね?」
 は?
 ええ?
 何を言い出すんですか、リリアンヌ様!
「わ、私、ローファスさんとは結婚しません」
 言われる前に思わず口をついて出た。
「ぶはっ。はははっ。ローファス、お前、母親よりも先に無事を喜んだ女性にはっきり振られたな!」
 シャルム様が噴き出した。
 リリアンヌ様はローファスの顔をちらりと見てはぁとため息を漏らす。
「本当、家には戻らない、嫁も取らない、活躍を噂で聞くしか楽しみのない息子だこと……。でも、大丈夫ですわ!うちにはほかにも息子たちがいますから!ちょっと待ってくださいませ、すぐに呼んできますわ!あ、娘もいますし、キリカちゃんとカーツ君と年の合う子も」
 くるりとシャルム様に背を向けて歩き出そうとしたリリアンヌ様は、まるで子猫のように首をシャルム様にひっつかまれた。
「待ちなさい」
 うん。こめかみ押さえてますよ。この世界でもこめかみ押さえるしぐさってあるんですね……。
「だめです、ユーリは俺の……」
 テーブルに片手をついて、ローファスさんが向こう側にひらりと降り立ち、リリアンヌ様の前で両手を広げて行く手を阻んでいた。
「ローファス、あなた……ユーリちゃんのこと……」
 リリアンヌ様がはっと息をのむ。
 うん、でも、きっと、色っぽい話はないですよ。俺の料理番だとかそういうやつです。
 シャルム様は小さく頭を振る。
「ローファス、振られたんだ、素直に身を引きなさい」
 シャルム様が同情の目をローファスさんに向ける。……あきらめるな頑張れとか言わなくていいんですかね?
「俺の養子か、俺の養子の嫁にするんだっ!」
 宣言しました。
「ローファス、さすが私の息子よぉ!」
 リリアンヌ様が、ローファスさんと硬く握手を交わす。
「孫、孫になるのね!私の孫!」
 キラキラした目で見られても、困りますよ……。
「ローファス、公爵家の人間が、ほいほいと養子を持てないのを忘れてはいないだろうね?」
「大丈夫だ。忘れてない。ユーリには特技がある」
 ローファスさんが胸を張った。
 嫌な予感がする。
「特技?特別な能力か?」
 ローファスさんが頷き、そして
「料理だ」
 どや顔を見せた。
 リリアンヌ様がコクコクと激しく同意!と言わんばかりに首を縦に振っている。
 シャルム様が、疲れ切った顔で椅子に座り込む。
「では、料理人として雇えばいいであろう?」
「違うんだよ、おやじ、ユーリの料理はなんていうか、その、」
 ちらりとローファスさんがこちらを見た。
 えーっと、補正値の話?

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