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10話 出発の朝に その1


 長い眠りから目覚めた。恒星エネルギーの吸収時は、不眠不休だったせいか、久しぶりの快眠を取れた気がした。

『おはようございます、マスター』
「うむ、おはよう」

 どうやらララはずっと側にいたようだ。
 そのまま上半身を起こす。隣に寝ている麻衣を見ると……

 パジャマの生地が薄いのか?
 ボタンの掛かりが悪いのか?
 体積が大きすぎなのか?

 胸元がはだけてブラジャーと谷間が丸見えである。

 パジャマ姿は人に見せられない、とか言っていたが……なるほど、こうなるのか。
 そのまま麻衣の姿を見ていると、股間のあたりに黄色い染みが付いているのに気が付いた。その染みはベットにも付いており、黄色い大陸ような形を作っていた。

「おい、起きろ!」と胸をモミながら起こす。
「わわぁぁー、朝からやめてよー! もうっ」

 股間の濡れに気づいていないのか、麻衣は俺の手を振り払い上半身を起こすと、乱れた髪と服を整え始めた、しばらく見ていたが一向に気づかないようだ。
 仕方ないから指摘してやるか……

「お前、17になってもオネショとか、大丈夫か?」
「へ? おねしょ? えっ?」

 麻衣は不思議に感じて、自分の股の部分を確認すると「えっ、えっ」と言いながら、俺の顔と自分の股を何度も見比べている。

「気づかず自然に出たのか・・・まずいだろ、それは・・・」
「え、違うの、違うってば! なんで? 記憶に無いんだけど?」

「おはようございまーす、そしてゴメンなさーい。
 それ私のおしっこでーす」

 俺と麻衣は、ベットから降りて声のした天井を見上げる、そこには夜巳が天井に方に向かって、大の字に張り付いていた。
 そういえば居たな、久しぶりの麻衣との時間を過ごしたせいで、気分がよくなって、そのまま放置してしまったんだった。

「食後からトイレに行けなくて・・・我慢できなくなって・・・
 そのまま出しちゃいました、テヘッ」

「テヘっても可愛くないわぁぁぁぁー」そう言いながら麻衣は、右手を夜巳に向け力を込めて天井から夜巳を引きはがす、そのまま腕を振り落とし夜巳をベットに叩きつけた。

「げびゅしゅ、へへへっへぇ」とベットに叩きつけられ、その衝撃でのびる夜巳。
「はぁー、エアーシャワーで綺麗にしてくるね」とそのまま麻衣はシャワールームに入っていく。

「ララ、これ(夜巳)とベットを綺麗にしておいてくれ、あと食事も全員分頼む」
『了解しました』

 ララは右手で夜巳を抱え上げると、左手でベットの下部を持ちそのまま持ち上げた。
 6畳ほどある大きなベットが、いとも簡単に持ち上がった。どんな屈強な人間でも、一人では持ち上がらないほどの、大きさと重量である。さすが10tを持ち上げれるパワーだな。

 ララが出て行ったとき、ちょうど麻衣がシャワールームから出てきて、部屋を見渡している。

「あれ、ベットは?」
「夜巳と一緒にクリーニングに出したぞ」

 俺はそのままテーブルに行き、椅子に座る。近くで、着替え始めた麻衣を丹念に眺めた。詳しく観察すると、股間についていた黄色い染みは、綺麗に消えていた。
 シャワーと洗濯が同時に、しかも短時間に出来る。こんな快適生活をしていたら、地球での生活とか苦行でしかない。

「そうやってじっくり見るから、瑠偉ちゃん達は着替えないんだよ」
「恥じらう乙女の、季節と言う事か…」
「ちょっと、何言ってるかわかんないわ」

 麻衣は何時ものスカートと上着を着こむ、そう何時ものゆったり目の上着だ。

「なあ、もう少し胸のラインを強調した服の方がよくないか?」
「男子の視線が、胸に集中するから嫌なの!」
「なるほど、巨乳アルアルってやつだな」

 そんな中ララと夜巳が戻ってきた、ララは朝食を乗せたワゴンを押しながら入ってくる、夜巳はその後ろを歩いている。夜巳は部屋に入るとララを追い越して、俺のところまで走って来た。

「聞いてよダーリン、私の調理技術が盗まれたの!」

 それを聞いてララの押しているワゴンを見る、そこには昨日の赤だしが、載っていた。
 さすがララさん、データ収集は完璧ですね。

「夜巳よ、ララの人工知能をあまく見るなよ? 銀河系最強で最速だからな。
 映像だけで再現可能だ、残念だったな? 秘匿の料理技術が真似されて」
「それだけじゃないんですよぉ!
 100グラム5000円の、7年熟成タイプ最高級赤味噌が無くなりました!」

 やけに旨いと思ったらそんな高級品を使ってたのか、7年熟成か・・・
 となると、味噌は買うしかないのか?

「まぁ、味噌なんて戦いが終わってから、何時でも買いに行けるだろ?」
「限定販売ですよ! 数が無いんです、作るのに7年も掛かるのですよ?」

 夜巳が俺に文句を言っている間に、ララは淡々と食事をテーブルに並べている。俺の前に置かれた味噌汁は、スープ皿ではなく今度は、持ち手のあるカップになってた。カップと手に取り、少し口に含む、昨夜に夜巳が作った味が、完璧に再現されていた。

「さすがだなララ、完璧な仕事だ」
『当然です、銀河系最強ですから』

「では、瑠偉達を呼んできてくれるかな?」
『すでにお呼びしております、ご心配なく』

 ちょっとララさんは天狗になってないかな? 24時間対応の完璧な仕事、さらに会話に突っ込みを入れてくれる親和性、さらに見た目も最高、こんなメイドは地球には居ない。
 触り心地が、非常に残念だが…

「ダーリンてばすぐ話をそらすから」と言いながら夜巳は、カップ入りの味噌汁を取ると口に含む「な、なに、この再現力は・・・おいしいんだけど」カップをテーブルに置き溜息する、目を閉じ何やら考え事を始めた。

「あれ? 夜の相手は巨乳様で衣食住はこのロボメイドがする。
 しかもダーリンの側では予知能力が使えない。ってことは私はなに?」

 何かを思い出したように、夜巳は目を開き俺に言ってきた。隣で「巨乳様言うな…」と小声が聞こえた。
 夜巳は、自分の立場に、ようやく気が付いたようだな。

「つまり夜巳は、俺とっては必要のない存在だ!
 しかもセクハラで、迷惑を振りまいている、要らない子だ!」

「あ、あああ・・・わぁー存在を否定されたよー、ママー」と隣に座っている麻衣に抱きつき、谷間に顔を埋めると、さらに左右の手を横胸にあてた。その両手は、間隔を狭めたり広げたりしている。

「ママじゃないわぁー! しかも、さりげなく胸パフしないように!」
 麻衣は夜巳の顔を、両手でつかみ引きはがした。さらに拳を握り、頭の両側を拳でグリグリする。

「いたいでしゅ、もうしましぇん、ゆるちて」
「ったく、もう」と麻衣は夜巳から手を離す、胸パフ攻撃によってズレたブラを、服の上から戻している。

 そんな騒がしい朝が過ぎ、何時もの警告音と共に部屋の扉が開いた。
 そこには、美憂と瑠偉が立っていた。

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