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「愛……」
「私、ずっと我慢していたんだよ。
お兄ちゃんが、お姉ちゃんに取られても。
他の女の人と寝ちゃっても……
ずっと、ずっと、ひとりで耐えていたんだよ?」
「でも、僕を待っていてくれる人がいるんだ」
愛は、涙を流した。
大きな声で叫んだ……
「私だって!私だって!ずっと!ずっと……待ってたんだもん!」
その声は、僕の胸の中にある何かを引き締めた。
「その人は、僕の大切な人なんだ」
「じゃ、私は大切じゃないの?」
「そうじゃないよ」
「また、私から離れるの?」
「君は、死んだんだ」
本当は、認めなくなかった。
「愛……
君は、死んだんだよ」
でも、認めなくちゃいけなかった。
僕の心の中で、何かが大きく崩れていく……