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「真白君は、何があっても今まで通りでいてね」
みさき先輩がそう言った時、水谷さんが言った言葉が頭の中に浮かんだ。
『何があっても、私から離れない?』
それに、僕はなんて答えた?
『うん、離れないよ』
そう、離れないって言ったんだ。
水谷さんと次会った時、どんな顔で会うだって?
「真白君?」
「はい、変わりません。
僕は、ずっとこのままですよ…」
普通に笑って、普通に挨拶して、普通に会話したらいいだけじゃないか……
僕の中でひとつの答えが出た。
「先輩、ありがとうございます。
俺、何か分かった気がします」
「え?」
「なんでもないです。
先輩のお弁当、美味しそうですね」
「あ、あげないよ?」
「わかってますよ」