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23話 女の子に優しくない部屋


 さすがに500年は待てない、俺はいいとして瑠偉達は確実に寿命を迎えるだろう、方法を聞き出して、エネルギーは自力で何とかできないだろうか。

「何とか短くできないのか?」
「こればかりは何とも…、長く生きられない種族ですか?」

 瑠偉たちが17歳だから、平均寿命が87歳だったかな?

「あと70年ぐらいかな寿命は…」
「そうですか…、ではどうします?」
「作り方だけ教えてもらっていいかな? エネルギーは俺が何とかできるかもしれないし」

 と俺の発言の後テナ=シエルは深く考え込んでいるようだ。

  (・・・リヴァララ、極秘通信で返答を)
  (・・・マスター・テナ=シエル、了解です)
  (・・・極秘でガイルアの微弱反応の調査をお願いします。
      私と話している人物だと思います)
  (・・・了解しました、極秘調査を開始します)

「わかりました、お教えしましょう。
 脳に直接情報を流せばいいですか? その方が理解が速いと思います」

 脳に直接か・・・俺の卑猥な思考能力がバレてしまうのか?
 よし、地球に帰ったら会わないしいいだろう・・・たぶん

「ああ、それで構わない」

 あとは地球の場所だな、地球のデータは詳しくないからな・・・

「俺たちの住んでいた惑星は、地球と言っている。
 あんな感じの種族が住んでる惑星だ、場所は何処にあるか分かるか?」

 と俺は立っている麻衣の姿を手で指して言う、それだけの情報では解らないだろうが生き物が住んでる惑星のデータを持っているかもしれないので一応聞いておこう。

「詳細なデータを頂ければ、こちらで候補を出しておきます。
 聞かせてくれますか?」

 やっぱり無理だったようだな、ここは学年トップ成績の瑠偉にお任せしよう。

「瑠偉出番だ、任せる」

 瑠偉は〈丸投げするな〉的な顔を俺に向けた。

「そんなに詳しくなんだけど・・・」
「くっ、くっ、くっ・・・遂に私の出番のようだな!」

 後ろから声がして振り返ると、窓際で組んだ腕に大きな胸を乗っけて麻衣が仁王立ちをしていた、何かやらかしそうで怖いが・・・

「いいけど、妄想を混ぜるなよ?」
「ま・か・せ・な・さい!」

 と途切れ途切れに麻衣は力ずよく言った。

 麻衣はセシウム原子から1秒の基準を説明しそこからの1メートルの算出を説明、そのメートルを基準にして太陽の直径・年齢、地球含めて太陽系惑星の構成原子・自転速度・公転速度・地軸の傾き・太陽からの距離、銀河での太陽系の位置、を詳細に説明していった。

「ま、麻衣、詳しいな・・・将来は宇宙飛行士になるつもりだったのか?」

 麻衣は頭を若干上に向けて鼻で笑う、そして・・・
「宇宙飛行士などにロマンは無いわぁ! 異世界から帰るための前準備よぉ!」
 と言い放った、その前に異世界とか存在しない、在ったとしてもどうやって行くつもりだ?

 そのまま俺は麻衣を放置しテナ=シエルにデータ不足はないか聞いた。
 これだけのデータがあればかなり絞り込めるそうだ、もっとも地球の科学がここより劣っているので、データは誤差を多めにして絞り込み範囲を広げてほしいと言っておいた、テナ=シエルは了承してくれた、しかし終始無表情だったので何を考えているのかわからなかったが・・・

「それでは作業に時間を取らせてください、休憩できる部屋に案内します」

 俺たち部屋を出てテナ=シエルの案内でかなり大きめの部屋に入った、その部屋にはベットが置かれていた、正確にはベットのみが置かれている部屋だ、そのベットは壁に寄せてあるのではなく部屋の中央に置かれている。
 ベットが1つしかない部屋、ただしベットの大きさは6畳ほどの大きい差がある。

 瑠偉がテナ=シエルに俺と同部屋について抗議していたが却下されたようだ、全てを信用してるわけではないので監視させていただきます、とのことだった。

 俺達はほぼ無償の援助を求めてるのであまり強くは出れない。
 テナ=シエルの話によるとこの惑星の種族は一緒に寝るのが普通だそうだ、なので一人用のベットなど存在しないらしい。

「でもでも、結婚前の男女や恋人ではない男女が、一緒には寝ませんよね?」

 瑠偉の横にいた麻衣が不満そうに言った。

「なるほど、雄と雌に分かれてる種族はそういう考えもあるのですか・・・
 参考になりました、私は雌雄同体の種族なので理解できませんが・・」

 テナ=シエルは相変わらずの無表情で返答した。
 麻衣の目が大きく見開き嬉しそうな表情をしている、これは俺と一緒に寝れるのを喜んでいるんじゃないな? たぶん<リアルフタナリきたー>と言いそうな気がしたので俺はすかさず力で唇と顎を固定して発言を止めた。

 俺の考えていた通り麻衣の最初の発言が「りある」であった、なんか麻衣の性格がだんだん見えてきた気がする。
 麻衣は両手で口を押え声なならない音を発し続けている。

 テナ=シエルは麻衣を見たが気にせずそのまま部屋の説明を始めた。
 トイレの場所、洗う場所、飲み水の場所を説明した、扉の横に青いボタンがありそれに触れると扉が自動で開く、しかし部屋に誰かがいると青いボタンが赤に変わり扉は開かないそうだ。

「それでは今から約10時間後にお迎えに上がります。
 食事も出させていただきます、口に合うかどうかはわかりませんが・・・
 そこの壁にある黄色いボタンを押しながら話していただくと私と通話できます、何かありましたら遠慮なく聞いてください」

 テナ=シエルはそう言い残すとすぐに部屋から出て行った。
 麻衣が涙目になりながら俺を見て、声にならない音を発している。

「な、なんだよ・・・新しい発声練習か?」

 と聞いてみたところで、能力で唇と顎を固定していたことに気づき解いてやった。

「ひどいよー、ひどいよー」

 麻衣は腕をフリフリして怒っている、そんな時「大変、大変」と連呼しながら美憂がトイレから出てきた。

「大変だぞー、男子トイレしかないぞ!」

 と美憂は尿をかなり我慢してるのかその場で小刻みに足ふみ運動をしている。
 雌雄同体と聞いて何か嫌な予感がしたが、やはり棒付きか・・・
 ん? でも大は何処にするのだ?

「ここで漏らすなよ? 腰を突き出すなり、四つん這いなるなり、開くなりして工夫してやってくれ!」

 わー、そんなーと言いながら美憂はトイレに駆け込んでいった。

「瑠偉と麻衣はどうする? 俺が膝を抱えてやろうか? 遠慮せず俺に頼め」
「ば、馬鹿なの? いい加減そのセクハラ発言辞めてもらえます?」
「兼次ちゃん、自分で何とかするから遠慮するね」

 さての心地いい罵りを聞きながら美憂がしているトイレ以外の洗う場所とやらを見て見よう。
 俺は扉を開ける、人ひとりが立っていられる場所が出現した、ラッキーなことに脱衣所がない・・・よし、部屋で生着替えが見れるな。
 洗い場の中に入ると前方に緑のボタンがある、あれを押せと言う事か?

 念のためテナ=シエルに聞いてみるか。
 俺は壁際に行き黄色のボタンを押しテナ=シエルに使い方を聞いた、当然大きいトイレの事もだ。

「洗い場は服のまま入って頂き、緑のボタンを押していただければ自動で洗浄します、特殊な空気で洗浄しますので20秒ほどで終わります。
 大きいトイレの方は扉から入ってすぐ右に、自由に曲がる金属製の筒があると思います、それを入れていただければ自動で吸引と洗浄を行います。
 水はこの浮遊都市では貴重なので、ほぼ出ないと思ってください。
 それでは、また何でも聞いてください」

 まさかの吸引式の大トイレに服まで洗えるエアーシャワー、さすが最先端科学。
 振返り麻衣と瑠偉を見ると顔が引きつってる。

「・・・じ、自動で吸引って・・・」

 二人同時に同じ言葉をボソッとつぶやいた。

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