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「ほぅ……」
フィサフィーがベルゼブブの方を見て笑う。
「主に問う。
主の目的は何だ?
なぜ我を作った」
するとフィサフィーは言った。
「ただの余興じゃ」
フィサフィーの言葉はどこか弱々しい。
「余興だと?」
ベルゼブブの目が赤く光る。
「紛い物では世界は取れなんだか……」
フィサフィーがそういって杖を振り上げた。
杖から放たれた光をベルゼブブは避けた。
「紛い物は紛い物なりの意地があるってよ!」
ベルゼブブの背後から灰児が、大鎌で襲いかかる。
「主は?」
ベルゼブブが灰児に尋ねる。
「まぁ、通りがかりの勇者さ」
すると灰児の影から裕也、キサラギ、新一が現れる。
空からコード893のメンバーが降りてくる。
「ふぉふぉふぉふぉふぉ。
賑やかじゃのう」
フィサフィーが笑う。
しかし、その表情は淋しげだった。
「チェックメイトだ!」
太郎がフィサフィーの首を大剣で叩きつける。
「斬れんよ。
そんな剣じゃ……」
フィサフィーが笑う。
「なら大剣に属性付与したらどうなるかな?」
セロがそういって現れる。
「そりゃ困るな」
「フィサフィー。どうして我を作った?」
モトフミがフィサフィーに問う。
するとフィサフィーが笑う。
「ベルゼブブにも同じことを聞かれたよ。
全くこの世界の悪は、根性がないのう。
これじゃ、ワシは――」
フィサフィーがそこまでいいかけたとき黒い刃がフィサフィーの身体に浴びせられる。
「この魔力――」
かみさまが驚く。
「知り合いかい?」
セロの問にかみさまが答える。
「本物のベルゼブブさ。
そして――」
次が白い光がフィサフィーの胸元に穴を開ける。
「よう久しいな、ベル坊」
白き神。
元無極躰主王大御神が姿を現す。
「もっくんも久しいな」
ベルゼブブ王がそう言って小さく笑う。
「元無極躰主王大御神とベルゼブブ王だと?」
フィサフィーが驚く。
「ふとさ僕思っちゃったわけよ」
ベルゼブブ王がいう。
「ラスボスがさ、いきなり現れてプレイヤーを倒すってのもありかなと」
「あ。ベル坊、それ我も思った」
元無極躰主王大御神が、そういって小さく笑う。
「ちまちま雑魚をぶつけて主人公を育てるとかありえないじゃん?」
ベルゼブブ王がそう言ってフィサフィーの身体を斬った。
「ワシが雑魚……?」
フィサフィーの身体は動けない。
圧倒的な強者に囲まれている。
その圧に飲まれている。
「じゃ、さようなら」
元無極躰主王大御神がフィサフィーを滅した。
最後の一撃は容赦がなかった。
「あれ?僕の活躍は?」
セロがいう。
「そんなもんだよ」
秋夫がそういって笑う。
「いや、勇者も結構集まっているのになんだこれ?」
灰児がいう。
「んー。今回はちとばかしフィサフィーは遊びすぎた」
ベルゼブブ王がベルゼブブの方を見る。
「まぁ、ねー」
元無極躰主王大御神がモトフミの方を見る。
「にしてもそっくりさんのレベルが高いね」
ベルゼブブがそう言って笑う。
元無極躰主王大御神もまた笑う。
「では……」
かみさまが元無極躰主王大御神の方を見る。
「まぁ、今回は影武者として二人を採用しようじゃないか」
元無極躰主王大御神のひとことによりこの戦争に終りを迎えた。