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第4回「ザシュシュシュシュシュシュッ!」

 ドドドドドドドドド!

「俺は今ビンビンだぜ、インパール藤岡……。この灼熱地獄に連れてきやがった報い、存分に受けてもらう」
「貴様なんぞに負けるわけにいかん。ナイトメア白水、お前の魂はノルマ達成にちょうどいい。熱中症なんぞではない、直接的な一撃でもってお前をあの世に連れて行ってやる」
「ムールナ、どう見る?」
「ふむ……場数ではインパールが上だが、ナイトメアには勢いがある。私が擬音の力を与えたのだ。結構いい勝負になるんじゃないかな」

 キンキンキンキン!

「激しい剣の応酬です! さながら剣劇を見ているようです! 解説のマイケル沢田さん。今のところは両者互角のようですが……」
「ああ。だが、長期戦になると経験の差が出てくる。長引けば長引くほど、インパール有利、ナイトメア不利ってとこだな」
「体力では俺の方が上だ!」
「付け上がるな、小僧!」

 キンキンキンキンキンキンキンキン!

「どうやら本気を出さねばならんらしいな」

 ジャキッ!

「二刀流だと!」
「そうだ。俺のインパール二刀流はこれにて全力を発揮することができる。お前に真の悪夢を見せてやるよ」

 キンキンキンキンズバシュッ!

「くっ、露骨に不利だ!」
「どうした。若さで俺に勝つんじゃなかったのか」
「五秒先取りしてもこれか。死神ってやつがこんなに強いとは」
「君が軟弱すぎるだけだ、ナイトメア!」
「……そうか。俺が軟弱ってことは」

 ズサササササッ!

「動きを止めた。諦めたわけではなさそうだが……」
「どうだろうな? 案外、万策尽きてあんたに白旗を掲げてるのかもよ」
「その軽口。何かを狙っているな。だが、どちらにしても同じだ。この二刀流は破ることはできん!」
「破らねぇさ、真っ正面からは。だから、横から崩す」

 ザシュシュシュシュシュシュッ!

「バカな、横から攻撃だと!」
「ああ。五秒後に斬撃を『置いてきた』。五秒の先取りと擬音の力。何も俺自身が無茶して戦うことはなかったんだ。配られたカードに正解はあった」
「なんて、なんて……卑怯な能力だ!」
「いい気分だ! なぜって? 卑怯はいつだって負け犬の言葉だからな!」

 ドガァッ!

「ぐあっ……」
「決まったぁ! インパール藤岡に決定的な一撃! 白水くん、すごい!」
「それでこそだ、ナイトメア。もっと高みを目指せ。お前ならできる」
「俺のぉ……勝ちだ!」
「でも、そのどこかから怒られそうな勝ち名乗りは何とかならなかったのかな」
「オリジナリティのないやつめ」
「調子に乗ってギャグやって滑るタイプだ」
「勝ったのにこの仕打ちだよ! ちょっとインパール先生、何とか言ってやってください」
「俺に愚痴られても」
「何はともあれ、一件落着!」
「あ、この巨乳女神、おいしい締めだけ持っていきやがった!」
「脱がせ脱がせ!」
「ツイッターに無修正でアップしてやれ!」

 ぽろんちょ。

「だー! 私はリロだ。ムールナじゃない!」
「だよね。擬音が明らかに乳量の不足を訴えてるもんね」

 ドゴバキボコォ!

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