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次の日。
私は、コインロッカーの前で座る。
何かがあるわけじゃない。
誰か迎えに来てくれる……
そんな気がするから。
「お?今日はなんか表情があかるいね」
そういって声をかけてくれたのは吾郎さん。
クレープ屋のおじさんだ。
スマホをプレゼントしてくれたのもこの人。
私が人殺しの子だってことを多分知らない。
「吾郎さん、おはようございます」
「はい、おはよう。
今日はバナナクレープを持ってきたよ」
「ありがとうございます」
私は、吾郎さんのクレープが好き。
美味しくて優しくて懐かしい気がするから。
「どうぞ」
私は吾郎さんからクレープを受け取り口に運んだ。
「美味しい」
「ありがとう」
吾郎さんは、そういって優しく微笑む。
「あ。お金……」
そしていつの間にかいた大輔さんが財布を取り出す。
「え?あなたは?」
吾郎さんが少し警戒する。
「えっと警察です」
「え?」
吾郎さんが驚いている。
面倒なので私は、吾郎さんに大輔さんの。
大輔さんに吾郎さんの説明をした。
「ああ。なるほど」
大輔さんはなにかをわかったかのようにうなずいている。
吾郎さんも似た感じだった。
「おっとこんな時間だ。
そろそろ仕事に戻らないと」
吾郎さんは、そう言ってその場から離れた。
「今日は遊園地にでも行く?」
大輔さんの提案に私は驚く。
「遊園地?
ディズニーランド?」
「いや、ここは大阪だからディズニーランドは遠いな」
大輔さんが困っている。
「ユニバーサル・スタジオ?」
私がそういうと大輔さんが笑う。
「枚方市民といえば……
ひらぱーだよ」
「ひらぱー?」
「そうそう。
アンパンマンショーもあるよ」
「アンパンマン!」
私のテンションが上がる。
私は、アンパンマンが大好きだから……
うん、このへんは子どもっぽいな私も。