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 ――30分後。

 万桜は、13の案内でパンドラ艦のミーティングルームに行った。

「えっと柊 万桜です。
 よろしくお願いします」

 万桜が、そういって自己紹介をした。
 するとシエラが、万桜に質問する。

「万桜さんは、おいくつですか?」

「えっと16歳です」

「あー!一緒じゃない!」

 シエラが嬉しそうに笑う。

「え?私も16歳なの!」

 すると焔が笑う。

「ってことは、俺と13も同じ歳だな」

「うん」

 13もうなずく。

「え?13くんって16歳だったの?
 小学生だったと思ってた」

 万桜がそういうと13が口を尖らせる。

「いまさらそんなこという?」

「あ、ごめんなさい」

 その場にいたメンバーが笑う。
 短い時間だったが長い1日だった。
 久しぶりに笑えた。
 そんな瞬間だった。

「座来栖(ざくるす)!
 お前も会話に参加しろよ!
 お前も16歳だろう?」

 バルドがそういってひとりの少年の肩を掴む。

「はい、自分も16歳ですが学生じゃありません」

 そう言ったのは、稲妻 座来栖。
 中学卒業と同時に軍人になった新兵だ。

「俺らも学生じゃないぞ?」

 焔が笑う。

「君らは学生だろ?」

「だって学校無くなっちゃったもん」

 シエラがそういうと座来栖が静かにうなずいた。

「そうか……
 そうだな」

「まぁ、無職だな」

 焔が笑う。

「お前らも正式に軍に入れ」

 バルドがそういうと焔が悩む。
 しかし、シエラは即答する。

「私は入りたいです。
 先生や子どもたちの敵討ちたい」

 シエラの目がしっかりと前を向いている。
 しかし、焔には心の残りがあった。

「俺は、一旦艦を降ります」

「そうか……」

 バルドは、残念そうにうなずいた。

「降りてどうするの?」

 シエラの問いに焔が笑う。

「ケジメをつける」

「ケジメ……?」

 シエラが首を傾げる。

「ああ、まぁ。
 すぐに戻ってくるさ」

 焔はそういって立ち上がる。

「行くのか?」

 バルドが問う。

「はい」

 焔は小さく笑う。
 そして、手を上げる。

「じゃぁな!」

 焔はそういってミーティングルームを出た。

「んー」

 13が静かに立ち上がる。

「どうした?」

 バルドが13に尋ねる。

「僕も一旦離脱する」

「どうした?」

「んー。野暮用」

 バルドはなにかを察した。

「わかった」

「また今度」

「ああ」

 13もミーティングルームを出た。





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