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 カンカンカンカンカンカン

 電車の中にボクはいた。

「目覚めたんだね」

 ボクは小さく頷いた。
 ふとカバンの中を覗いてみた。

 落書きだらけの教科書が出てきた。

「いじめられっ子は転生してもやっぱりいじめられっ子なんだね」

 ボクがそう呟いた。
 でも、隣に女の子が眠っている。

「ボク……私が絶対に護るから」

 ピノだった。
 ピノが隣で眠っている。

「ああ。そうか、ピノも咎人だったんだね」

 その言葉でピノが目を覚ます。

「ボク?もしかして……」

 ピノの目に涙が溢れる。

「うん。目覚めたよ。
 咎人になったよ」

「思い出した?」

「うん」

「あのねあのねピノね。
 ボクの記憶が戻ったらずっと言いたかったことがあるの」

「うん。
 僕もあるよ」

「え?」

「ピノ……好きです」

 ボクはピノに告白した。

「ピノが告白したかったのにー!」

 ピノがそういって頬を膨らませる。

「ダメかな?」

「私のほうがボクのこと好きだもーん」

 ピノが、そういってそっぽを向いた。
 そっぽを向いているのにボクの手をぎゅっと握りしめた。

 ボクは、そんなピノが愛しくて愛しくて仕方がなくなった。

「ボクも負けてないよ」

 別の世界にいたボクが。
 転生してピノに出逢った。

 いじめられっ子が転生してもいじめられっ子だった。

 本質は変わらないかもしれない。
 でも、そのどこかにしあわせのかけらはある。
 かけらも集まれば塊になる。

 そのことを深く感じ……
 ボクは今日も生きる。

 ボクは僕を辞め俺になって強くなった。
 ボクは俺を卒業し僕になった。

 優しい優しい世界を築き上げるために……


 ――fin

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